警察と、犯人と一緒に裁判所に来た私たち。
1ヶ月で釈放されるとはいえ、Yちゃんのパスポートを持っていた犯人の家族は、自分の家族が逮捕されたというのに何だか皆、妙に落ち着いていた。
そんな様子を見ていると、逮捕なんて日常茶飯事なのかもしれない、と思った。
警察官のRajさんが何やら忙しそうに動き回っているとき、背の低い、肌が真っ黒な男が話しかけてくる。
“What happened? What’s your problem?”としきりに聞いてくるので、初めは”Nothing.”と答えていたが、
あまりにもしつこいので適当に質問に答えていると、ホテル名や部屋番号まで聞いてきて、いよいよ怪しい![]()
仕方なくホテル名を告げると、うちの近くだと言って名刺をくれ、付きまとってくる。
「今日の晩、帰国するから何も必要ないよ」と言うと
「パスポートがないのにどうやって帰るんだ?」と言われる。
「警察が裁判所に返してくれるように頼んでくれている」と言うと、
「そんなことはあり得ない」と言われ、私たちの不安は煽られる。
その時点で初めて、「ところであなたは何者?」と聞くと、
「弁護士だ。この服を見ろ。これが弁護士の服だ。」と説明される。
Rajさんが戻ってくると、その弁護士を名乗る男はどこかへ消えた。
Rajさんは「俺の見ていないところでわけのわからない書類にサインするな。」と言う。
。。。が、その後戻ってきた弁護士が持ってきた、『パスポート返却請求書』にサインすることに。
警察と弁護士がグルなのか、それとも敵なのか。。。
後でお金を要求されたときはかなり怪しい臭いがしたが、
とりあえず、その紙を持って、裁判長みたいな男のところへ行った。
警察と裁判長が10分ぐらい、私たちと裁判長が5分ぐらいやりとりをしたあと、
ようやくパスポートの返却が許可された。
また弁護士が持ってきた『パスポート受領書』的なものにサインをし、ことが済むと、
警察のRajさんにお金を要求される。
「彼(弁護士)が協力してくれたけど、いくら払える?」と。
Yちゃんが「盗まれたからお金がない。日本に帰ってからでもいいか?」と聞くと、
「頭金だけでもいいから。」と言われ、1000ルピー払う。
今冷静に考えれば、払わなくてもよかったし、払うべきではなかったのかもしれないけれど、
もう早く安全に帰りたい一心なのと、かなり疲労が溜まっていたのと、
下痢によって衰弱していたのとで判断力も鈍っていた。
お金を払って事が済むのならどうにでもなれとすら思っていた。
裁判所を出た時、弁護士が「こっちだ」と自分の車に乗るように言ってきたが、
Rajさんは「こっちに乗れ」と言う。
日本人からお金をせしめようとしているのか?
私たちはインド人の言いなりになっていた。
つづく。
