小説風 | リンゴ遊ビ唄

小説風

これは何だ。
何でこんなに混んでるんだ。

午後の診察始まる前に着いたというのに、待合室の椅子は全てジジババで埋めつくされている。しかも半数近くがマスクでゴホゴホだ。これは帰ってからしっかりうがいをしなくてはならない。

あわやは今眼科にいる。何故か。それは右目が非常にゴロゴロして痛いからだ。
目を開けていられない程の痛み。おそらくこれは眼圧が上がってしまっているからだ。
残念なことに父から遺伝的に受け継いだ眼圧の高さは、中学の頃からあわやを悩ませていた。高いと明るいところで目が開かず、ケアには手間と金がかかる。

一ヶ月前に目薬が切れた。しかし行く面倒くささから眼科に行かないでいた。
いつもは一、二ヶ月ほっぽっていても平気だった。だが、今回は違った。昨日から右目がゴロゴロし出した。

今目を気持ち良いぐらいぱちくりしながらこれを書いている。右に作業服を着たおじさんが、左には一人言をつぶやくおばあさんが座っている。

ハッキリ言って……これほどジジババが多い空間にいると気が滅入る。
これは差別に値するだろうか。加齢臭が部屋中漂っている。
将来日本は深刻な高齢化問題を抱えるだろうと言われているが……
恐ろしい。なんて恐ろしい。


今日は登校日だった。久しぶりに級友に会えた。
目は朝から痛くて休んででも午前中に眼科へ行きたかったが、「自業自得なんだから行きなさい」と母に家を追い出された。

学校では良く耐えられたと思う。この独特の痛みと気持ち悪さ、誰にも分かるまい。
片目をタオルで押さえなんとか頑張っていた。級友には、目が痛いと言ったあと、「小学生の頃に映画館で買ったワンピースのビニール製の眼帯してくりゃ良かったよ、ハハ」なんて冗談を言ってポジティブをアピールした。ワンピースのあの麦わら帽子を被った骸骨が入った黒い眼帯だ。絶対しないけど。

LHRの後卒業式の歌の練習をした。
昨日カラオケに行った喉はまだ歌に飢えていた。だが、熱血な音楽教師は「こっちを見て。口を開けて」としきりに生徒とのアイコンタクトを求めてくる。目が思うように開かないあわやにとって大好きな歌の練習は地獄の時間と化した。

仰げば尊しはなんであんなにゆっくりなのだろう。その三倍速で歌えないものか。もどかしかった。君が代はなんとなく好きだし短いからまぁ、許す。


はてさてこれを書き始めてもう30分が経過した。以前として番は回って来ない。加齢臭にも鼻が麻痺してきた。
それにしてもここまでの痛みはおかしい。こんなにゴロゴロすることなんて今までなかった。級友には、別れ際に「目に注射されるかもね」なんて恐ろしい予言をされた。まさか。目に注射?!まさか!!

怖い……想像しただけで体が震えてきた。柔らかい眼球に長い針を刺し入れる……エグい。実にエグい。ショックでなったことのない貧血になりそうだ。

まさか……まさかだ。この長い待ち時間は、注射までの執行猶予期間なのだろうか。今のうちに心の準備を済ませておけということなのだろうか。

駄目だ。そんなの。注射は、嫌だ。
腕にするのとはわけが違う。冗談じゃない。もう、冗談じゃな……

ああ、もう混乱して来た。精神的に追い詰められている。どうかどうか、目薬をもらうだけで済みますように。眼球の神よ、あわやをお守り下さい。

あと20分くらいではないかと思う。これからは目をつぶり来たる診察に向けて精神統一をしたいと思う。応援有難う。