【ケイコ】

矢印の示す方へ

 

レオンで歩き始めてすぐに黄色い矢印が現れて、サンティアゴ・デ・コンポルテーラへはこの方向なのだ!とインプットされた。

これだけを頼りに私たちは300kmを歩くのだと覚悟を突きつけてきた。 この道の地図もない私たちには(あるのかも分からなかった)唯一のナビゲーターであった。

 途中、この矢印を見失って道に迷い、お互いに不機嫌に、不安になって、行きつ戻りつも1回ではなかった。

    

ある時は、よく晴れた日であったのは幸いだったが、森に入るのか土手のようなところをもう少し進むのかで意見が分かれた。 ケンシが方向感覚は絶対で、方向感覚がどうもずれている私は従うのだけれど、どうもその時は私は森を進みたがって、ケンシは土手をもう少し先に進みたがった。 勿論(渋々)土手を先の方へ行ったのだが、どうも違う感じがした。そこで、戻ることを提案。 ケンシも同意してくれて戻ることに。 森に入って、それでもヒヤヒヤだったのだが、黄色い矢印があった時にはホッとした。

 また、ある時、もうモンテ・ド・ゴゾに近かったところで、ペレグリーノが何人も集まって話をしている。そんなことは珍しいので、何を話しているのか聞いたところ、矢印がふた方向指していると。 私たちも加わって、ガヤガヤしていると、何回も通っているペレグリーノが「あっ、どっちでも同じ道に出るよ」と一言。解散となった。 

  300kmが200kmとなってもまだ遥かなことで、ほぼ残りをきにすることがなかった私たちも、残り100kmという矢印が出た時には先が見通せるようになり、嬉しさが込み上げてきた。 300kmという距離は東京から名古屋の距離とのこと。 その距離を歩き通せるということが嬉しかった。

100kmを切った

  エル・カミーノも終わろうとしている頃に、キルスティンから地図を見せてもらった。それは高低差の入った地図で、見やすく、分かりやすいものだった。 どこかで手に入れたいと思っていたら、旅が終わった後に本屋で見つけ、手に入れた。 そう、これは今回の旅には使えなかったけれど、こうして書いている時には、直後に書き込んだので、資料となったし、また行ける時の為には本来の地図の役割を果たしてくれるはずだ。