痛いくらいに吹き荒ぶ冷たい風も
2人寄り添えば暖かくて


絡めた指先からは
咲人の優しさが伝わってきてたのにね、


『寒いね、咲人』


こんなに近くに居るのに
手だって痛いくらい握ってるのに


『眠いね…』


貴方の温もりが伝わってこないの


『咲人…』


瞼が重い
意識も朦朧として
耳の奥に響くのは


「ひつ」


聞きなれ過ぎた声
聞きたくて聞きたくて仕方なかった声


『さきとぉ…』


「何泣いてるの」


『だって咲人が…』


咲人が隣で…



俺を置いて先に逝ったんでしょ


「ごめんね、ひつ
独りにさせてごめん

よく頑張ったね」


そう言って咲人は俺の頭を撫でてくれた

大好きな手
その手はいつもみたいに暖かくて優しくて


『さき…』


何もかもが嘘みたいだった

気づいた時には
車もろとも崖の下に墜ちていた


「ごめん、ごめんねひつ…
もう苦しくないから」


『あ…あぅ』


もう二度と抱きしめられることなんてないと思ってたのに


「後悔はしない?」


『咲人と一緒に逝けるなら

咲人はー…』


聞かなくても解ってた
優しい咲人だもの
後悔しないわけがない

ただ悲しそうに笑った顔


今度は俺から抱きしめる


『咲人と居られるなら
どんな終わりでも俺は幸せだから』


見つめた先
眩い光が俺たちを包む


次また会う時まで
しばらくのお別れ


ありがとう咲人
俺は幸せだったよ