「あれ…」


右の頬を伝う一滴


「ひつが泣いてる…」


悲しくないのに流れる涙

きっとこれは
ひつの気持ち


「寂しがってるんだ」


行かなくちゃ
ひつのところに








「ひつ、ひつ」


扉の前で何度も名前を呼ぶ


『こんな時間に…


黄泉?』


開いた扉の向こうには愛しい柩の姿


『こんな時間に…

何泣いてるの?』


「ひつが寂しいんじゃないかって…」


『そっか…
ありがとう、寒かったでしょ?
中入って』


ほら、
ひつと俺は以心伝心
双子以上に心が解る

ひつが寂しい時は俺も寂しい

ひつが悲しい時は俺も悲しい


暖かい部屋
ひつの匂い


ほら
もう寂しくなんてないよ


『黄泉、何かあったの?

話、聞いたげるから』


ボロボロと流れる涙


温もりを求めていたのは


ひつじゃなく俺だった