ザァザァ

ざあざあ

雨が降る

どんよりと思い灰色の空から冷たい雨が降る

俺は1人雨の中佇んでいた

不思議と

髪から滴る水も
濡れて肌に張り付いた服も

心地よく感じた


『何してるの?!』


雨の音しか無かった世界を切り裂いた声

それは
俺の何よりも好きな音
大切なやつの声


「いや…なんとなく」


『なんとなくって…
きぃちゃんは歌を歌うんでしょ?
喉大切にしないと』


そう言って俺の頭を覆ったもの


灰色だった空を隠す
空色の傘


「あー…」


『あー…じゃないでしょまったく…』


パラパラ

傘を弾く雨滴
明るくなった視界と音


「世界はこんなにも変わるのか」


『何が??』


「いや、何でもねぇ」


『変なの

さ、家帰ってお風呂入ろ?
風邪ひいちゃう』


そう言われ手を引かれる俺


ガキみてぇ


でも戒の手から伝わる温もりを感じた瞬間
自分の手がやけに冷たくなっていたことに気づいた


灰色の空を覆った空色の傘も

静かだった雨の音を明るい音にしたのも

俺を温かくしてくれた温もりも



全部ぜんぶ
お前が与えてくれたものだった


お前が居てくれるだけで


俺の世界はこんなにも
明るく温かくなる


幸せとは
ほんの些細なことだ

こんなことにも気づかされるなんて


ありがとう
きっと俺はお前に出会えて初めて人間らしくなれたのだろう


俺は戒の手を強く握り返し横に並んだ






[長靴とレインコート]より