週末の北海道は一気に真冬でした
いよいよアウトドアでの活動が制限される季節が到来
今年はどんな冬になるのかな
面白くて週末、一気に読んだ一冊
東京駅のカフェで初老の男が店員に注文を伝えると、先に着席していた小学生の女の子が「どら焼きのセットにすればいいのに」と言い、かつて3人で食べたよねと畳みかける。
再読すると、少女が初対面の男を知悉していることを強調する冒頭シーンの繊細さに驚かされる。その後の約300頁は、男と読者が抱く「違和感」を解きほぐすことにあてられる。手塚治虫『火の鳥』や折口信夫『死者の書』を思い起こさせる展開だ。
著者は人生の岐路を主題としてきた作家だ。「記憶」をカギとする本作もその系譜にある。「まさか」と思える出来事に現実味を与えるのは、細やかな生活描写だ。感動の場面は無数にあるが、満月の夜に一人でどら焼きを食べたくなる「究極の愛」の物語だと評するにとどめたい。とにかくラストがすごい。
さすがの直木賞受賞作でした。
☆☆☆
