東洋ゴム工業の山本卓司社長は同日、記者会見し「コンプライアンス(法令順守)体制をもう一度見直す」と謝罪した。同社は「免震ゴムお客様ご説明窓口」((電)0120・880・328)で顧客の相談に応じる。
製品は「高減衰ゴム系積層ゴム支承」(免震ゴム)で、建築物の基礎部分に免震材料として使われている。地震時のエネルギーを吸収して建物の揺れを少なくする機能があり、品質確保のため、建築基準法は全製品について国交相の認定を受けることを義務付けている。国交省は認定の要件として、建築物1棟ごとに免震性能を計算し、基準値を1割以上下回ることがないよう求めている。
東洋ゴム工業と子会社が2004年7月~15年2月に販売した計5種類の製品を使った55棟は、いずれも基準値を1割以上下回っていた。このうち、06年以降に認定を取得した3件は試験データを改ざんした書類を国交省に提出していた。
東洋ゴム工業によると、免震ゴムのデータを改ざんしたのは、10年以上にわたり、同社と子会社で製品の性能検査に1人で携わっていた社員。昨年2月に担当者が代わり、性能検査のデータや国交省に提出した書類などを精査した結果、不正が発覚した。
東洋ゴム工業は今月12日、基準を満たさない製品があったと同省に報告。山本社長は会見で「組織的にチェックできる体制がなかった」と述べた。
同省は東洋ゴム工業に対し、建築物の所有者への説明や免震材料の交換・改修などの対応を取ったうえで、同省に報告するよう求めた。東洋ゴム工業は07年にも断熱パネルの耐火性能の偽装が表面化し、当時の社長が引責辞任している。