ステロイドの副作用に
食欲亢進がある。

私が一番イヤだったのは、
この副作用だ。


とにかく、
お腹が空く。


毎日毎日、
お腹が空いて眠れず、
お腹が空いて目がさめる。

まあまあ多めな病院食も瞬時に完食。
でも、まるで食べた気がしない。
またゼロから食べられる、
って感じ。

飲みもので満たそうにも、
当時は前日の尿量が
翌日の摂取水分量なので
(無尿時は300cc摂取可)
それも叶わない。


なにか好きなことでもして
気を紛らわせられるならまだしも、
ステロイドが多い時は
トイレ以外ベッドから出ちゃいけない。
食事以外、起き上がっててもいけない。

現代のように
それぞれのベッドサイドに
テレビなんて無い時代。
当然、ネットも無い。

このストレス、
思い出しただけでも地獄の心地。






退院時は15mgだったので
食欲もだいぶ落ち着いていたものの、
病院食を毎食完食していたので、
完全な胃拡張。
常にそこそこお腹が空いていた。



全くダメなわけではないけど、
食事制限を受けてるうちは
基本的にお菓子は禁止だ。

塩分も含まれてるし、
体に良い影響は考えにくい。



お店に買い物に行くと
大好きだったお菓子がおいてある。
カール、ポッキー、プッチンプリン。




あの頃の私は、
今の私とは別人のよう。
とにかく、
やるなら徹底的に。
高校に入るまでの約三年、
一切、お菓子を食べなかった。


そして、
そのストレス発散に、
お菓子作りに没頭した。


今にして思うと、
なぜそんな更に追い詰める
ようなことに着手したのか、
自分が謎で仕方がない。
バカ…だったのかな?


本を見ながら、
ほとんど毎日のように
なにか作っていた。

作ったお菓子は
母が職場に持って行ったり、
入院してる友人に持って行ったり。

私は味見すらしなかったけど、
皆からリクエストされるのが嬉しくて、
喜んでもらえるのが嬉しくて、
お菓子作りが楽しくて
とにかく夢中だった。


そんな風にして、
食べたいものが食べられないストレス、
お腹が空いてイライラするストレス、
それでも太っている現状へのストレスを
解消していた。




進学は美術系に進み、
就職は小売業界。
あの頃以来、
お菓子作りの
お の字もなかったけど、

巡り巡って、
今、
製菓講師をしている。






人生って、



不思議。