復讐を誓い、そのためだけに生き続ける人たちはみなよく似ている。
本心を隠し、
誰も信頼せず、
かつてどんなに親しかった友人でも家族でも
手にかける決意をした冷酷な自分を受け入れ、
その瞳の奥は笑っていない。
一度生きることに絶望している。
たとえ復讐を遂げた先に空っぽになってしまうと分かって、また薄々気づいているとしても、
復讐のためだけに歩み続ける。
一度心をこ ろされた彼らは、感傷を捨て、愛情を捨て、
平和ではなく戦いを選択する。
自滅と空虚な決着に向かい、わき目もふらず突っ走る。
そんな彼らの背中は、とても痛々しく、
重いなんて言う言葉では言い表せないくらい哀しく見える。
それでもそんな人間を私は美しいと感じる。
幸せを求めようと不幸に嘆き続けようと破滅や自己破壊に向かって
エンディングがわかっていながら目的を遂げるために全力を投じる、
みんな人間だ。
特に復讐の道を歩む人間たちや絶望から破滅へと突き進む者たちを、
私はいとおしく思う。
愛の裏返しでしかないからかもしれない。
そんな生を選んだ彼らを勇敢で愛情深いと思う。
とても冷酷になれる人間は、実は本当に深い愛情を知っている人間だと思うからだ。
どんな選択をしたとしても、人という生き物は愛おしい、可愛らしいものだ。どこまでも。
そういう意味で私は、人間というものに興味が尽きない。
まるで人非ざる者のように。