東京郊外では7月下旬に、秋鳴く虫たちが恋の歌を唄い始めます。
虫の鳴き声を、雑音と思わず情緒的に意味のある音として認識する能力を持つ人は、日本語もしくは、もうひとつの言語(どこの国の言葉かは失念。欧米諸国ではなかったです)を母国語として成長する必要があるそうです。
そうした意味では、日本人は内面的な悦びに溢れた日常を過ごすことができ、真に豊かな国民ではないかと自負しています。
我が家の近くには、子供の頃ずいぶんと沢山の虫が棲んでいました。
夏は運がよければタマムシを手中に収めることができましたし、ヒラタクワガタの大きな個体を捕まえたり、セミの王様ミンミンゼミをひと夏に何匹捕らえたか?を友達と競って楽しんだものです。
息を呑むほど美しい、金属光沢の大きな羽を持つ、ミヤマカラスアゲハも普通に見られました。
秋に鳴く虫にツヅレサセコウロギという地味な虫がいます。
気温が下がると羽を動かす速度がのろくなるため、この虫の声の速さを調べると、気温が正確に分かったりするのです。8月と10月では全く別の虫の声に聞こえます。
今夜のツヅレサセコウロギの声は、限界に近い速さで、まるでラップみたいで頭を抱えてしまいました。
昭和40年代、暑いと思っても30度を超える日はひと夏に2~3日。8月も下旬になれば秋風が吹き、ツヅレサセコオロギがここまでひきつった声で鳴くことはなかったです。
今夜はお年寄りが熱中症にならないようにと、祈りながら休みます。