男はちっぽけなプライドを守るかのように、ワイングラスをかざす右腕のロレックスを彼女の目線に誇示した。
彼女は素知らぬ風で、卓上の多彩な珍味を次々に口に入れていく。
赤い豆腐ようソースのスペアリブにかぶりつき「マラビオセメンセデリビオソ❗️」
青柚子と鯛の明太みぞれ和えを賞味し「シッテレンド❗️」
からすみチャーハンをがっついて
「エナクサカーリー❗️」
イカシューマイを頬張り
「レカーオンファーム❗️」
アスパラガスのカルボナーラを平らげ「タクスマチュノ❗️」
ふぐの卵巣のぬか漬けのお茶漬けをかきこんで
「ドッテンスクライメ❗️」
外国語ダメダメな男もさすがに今の言葉には違和感を感じて聞いた。
「今のは何語❓」
「今のは津軽弁」
女はイタズラっぽくペロッと舌を出してこたえた。