さらに彼女はパステルブルーのアイスキャンディをかじり
「リーギョレア❗️」
 フカヒレラーメンをすすって
「レカースン❗️」
 牛肉のタリアータを喰(は)み
「デリチオロベッロ❗️」
「なんて美しい食べっぷりなんだ」
 男は感動した。
 男は胃弱で少食だった。
 しかし人が幸せそうに美味しそうに食べるのを見るのが趣味と言っていいくらいに大好きだった。
 暇があればYouTubeで食べ歩き動画ばかり見ていた。見ているだけで元気になる気がした。
 女が細面の美形を生の喜びで紅潮させつつ多言語の美声で感嘆しながら次々に多彩な珍味を平らげてゆく食事風景はまさに至高の芸術だった。
 女の旺盛な黄金エネルギーが男の薄弱なほの青い魂の中に流れ星のごとく流れこんでくるようだった。
 彼女こそ多言語のファンタジスタであり美食のファンタジスタだ❗️男は恍惚としながら思った。