監督 吉田恵輔
出演 堀北真希/松田龍平/余貴美子/麻生祐未/ガダルカナル・タカ/ふせえり/温水洋一
兄と生活する麦子のアパートに、ずっと音信不通だった母・彩子が押しかけ、一緒に暮らす羽目になる。
だが、彩子はほどなくガンで急死し、麦子は四十九日の納骨のため彩子が育った小さな町に向かう。
麦子は、うるさい目覚まし時計を鳴らしたり間違って漫画の単行本を捨てたりする彩子に腹立たしさを隠せない。
が、いくらきつい言葉を投げつけても彩子は聞き流し、掃除や食事の用意をし、ある日麦子が揚げたトンカツを無理して食べようとする。
それはいわば彩子の子どもに対する贖罪なのだが、麦子にはその態度が押しつけがましい。経済的事情から同居せざるを得ないが、突然現れた母親の存在に戸惑う麦子と、明るさを絶やさず笑顔で応える彩子。
母娘として過ごした記憶がない2人のやりとりが妙にリアルだ。
親は、例え子に傷つくような事を言われようと、親として不甲斐ない自分を責めるものなのだ。
故郷の小さな町の人々は、若いころの彩子に瓜二つの麦子に驚き、並々ならぬ関心を寄せる。若き日の彩子はこの町では誰もが認めるアイドルだった。麦子は彩子にまつわる様々なエピソードを聞かされ、彩子ともっと話をしておけばよかったと後悔し始める。
終盤、温水が麦子を諭すいい芝居を見せる。序盤でろくに前を視ずに運転するタクシー運転手ぶりにはイライラしたが。
ラストの赤い目覚まし時計のカットが微笑ましい余韻を残す。
89点。