汚水槽の汚物と排水槽の雑排水をバキュームカーで吸引したのち、高圧洗浄で痕跡を洗い流す作業があるのだが、ここで問題発生。点検口に通常サイズの作業ハシゴが入らない。建物の建設時点から、汚水槽と排水槽の点検について、全く考慮されていなかったようだ。仕方がないので、急遽A社の作業員が木製のハシゴを作製し、高圧洗浄の作業員が汚水槽から作業に取り掛かったのだが、4月上旬では考えられないような蒸し暑さと「妙な違和感」を感じたらしい。作業員が妙な違和感を確かめるべく、四方の壁を見てみたら、平均水面と思われるあたりにビッシリと「とびっ子サイズ」の白いツブツブがあったらしい。間違いなく、1F旅行会社の謎の溝から発生したあの得体のしれない虫の卵だろう。A社担当者のY氏から電話で報告を受けただけなので、実物を見ていないが、とにかくひとつ残らず虫の卵を除去してほしいとの旨を伝えたことは、今でもはっきり覚えている。汚水槽の高圧洗浄作業が終わった後、排水槽の高圧洗浄作業に取りかかったが、汚水槽ほどではないものの、ここでも大量の虫の卵があり、完全除去してもらった。4月上旬のまだ肌寒い時期に卵があり、成虫が見つからなかったということは、成虫は汚水槽、排水槽で産卵後、冬場に死滅しているが、卵は越冬していたことになる。このまま気付かなかったら、夏は地獄絵図だったことだろう。1F旅行会社の社長は数年間も夏場の虫害に耐え続けたらしい。退去しなかったのが不思議なくらいだ。何はともあれ、汚水槽と排水槽の高圧洗浄作業は無事終わったので、これから壊れた汚水ポンプと排水ポンプを取り替える作業に入るわけだが、ここでまたしても通常の物件ではあり得ない大問題が発生した(続きは次回!)。



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                <高圧洗浄作業車>


               <手作りハシゴと点検口>


               <汚水槽に入る作業員>


国内外の証券市場の混乱が一段落したところで、アベノミクスへの待望論が再び盛り上がってきているようだが、ここで敢えて水を差すことを言わせてもらおう。「アベノミクスは近いうちにフェードアウトする。その結果、景気は徐々に減速し、後退に移行する。」これが従来からの私の持論である。


安倍政権は労働賃金の上昇と女性労働力の活用を声高に掲げているが、賃金増加(ベースアップ)に応じることができるのは、資金力がある大企業のみ。日本企業の99%近くを占める中小企業は厳しい受注環境の中、賃金増加など到底できるはずがない。実際にサラリーマン一人当たりの平均年収は年々下がり続け、今や408万円しかない。これは非正規労働者の増加に起因する。仮に名立たる大企業が軒並み今年の賃金増加に応じたとしても、毎年賃金を上げ続けることはできず、単年度限りの「打ち上げ花火」になりかねない。大企業といえども、余裕があるわけではない。グローバル経済の中で、世界の有力企業を敵に回して生き残らねばならず、たゆまぬ研究開発投資、新技術の確立、生産効率の向上、コスト競争力、マーケティング力の確保が不可欠である。つまり従業員に金を使っている場合ではないのである。「グローバル企業との厳しい生存競争の中、従業員に金をかけられない。できれば、安くて優秀な労働力を確保したい」というのが、企業経営者の本音である。安価で優秀かつ日本文化に親和性のある人材を確保しようとすれば、当然アジアの新興国に目が向く。アジアの新興国で賃金が安く、優秀な人材を多く確保できるのであれば、アホで賃金が高く、労働生産性が低い日本の学生を採用する理由がない。実際に、多くの企業でこのような現象が発生し始めている。そんな中、安倍首相は「賃金増加」、「女性労働力の確保」を強力に主張している。目先のことしか考えていないと言わざるを得ない。お金を使う人の数が減っているのに、賃上げを主張してどうしたいというのか?(生産年齢)人口減少率を上回る賃金上昇率を実現できるとでも言いたいのだろうか?当然そんな芸当ができるはずはない。ではなぜ人口減少国に転じた今、人口増加策をマニフェストの柱に据えないのか?それは外国人が日本国籍を取得した際に発生する、参政権の問題があるからだ。仮に現在不仲である中国や韓国の移民が増加し、選挙で中韓系の議員が増加すれば、中国や韓国寄りの政治、経済政策を受け入れざるを得なくなる。この事態を恐れているのだろう。そうであるとすれば、国ごとに移民枠を設定すればよいだけの話だが、大きな国際問題に発展する可能性を覚悟しなくてはならない。 いずれにせよ、安倍政権は日本経済が直面している問題に対してその場しのぎの対応しかしていない。


しかも微妙な発言でデフレ脱却が近いようなコメントをしている。全くの嘘である。確かに昨年来、インフレ率は上昇しているが、これは昨年の円安外貨高による輸入物価の上昇や原材料高、資源高によるコスト面の増加で説明できる。つまり現在発生しているインフレの大半はコストプッシュインフレであると言ってよいだろう。いわゆる「悪いインフレ」が発生しているわけである。悪いインフレにより上昇した物価は最終的に需要と一致するところまで下落する。この不都合な真実を大手企業のベースアップというオブラートに包むとともに、実感なき景気回復をメディア戦略でカバーし、虚偽の景況感を醸成しようとしているのだ。そして景気が減速し、後退に向かうと、「景気循環」のせいにして逃げ切るというのが基本的なシナリオなのだろう。本当に景気が回復するためには企業業績の改善が従業員の給与増加につながることが重要だが、前述の通り、主に大企業はR&Dやマーケティングに多額の資金を投じているため、従業員の賃金増加など、二の次、三の次である。日本企業が高度にグローバル化したために、業績が良くても労働者の賃金を上げることができない。これに加えて、製造業の労働生産性が非常に高く、高度な技術力があるために、安くて品質の良い製品を大量に生産することができる。これらの現象が絡み合ったものがデフレの正体であり、今更修正することはできない。個人消費を引き上げることができない現状で、経済成長率をアップさせるためにはどうすればよいのか?私は人口増加による基礎消費の底上げが最善の策であると思う。日本のGDPの70%は個人消費が支えているからだ。しかし今の政治家達にはその政策を実行する胆力がない。反論は多々あると思うが、もう一度胸に手を当てて考えてほしい。「自分の周りに景気回復を実感している人が何人いるだろうか?これが本当の景気回復なのだろうか?」と。


しかし不動産投資を行っている方には景気減速、景気後退は朗報である。質の高い物件を安く購入できるチャンスだからだ。現在収益物件の購入を検討している方は、自己資金をしっかり蓄え、来るべき時に備えておくことが最善の策であると思う。くれぐれも買い急いで割高な物件を購入しないよう、注意していただきたい。


<ご参考~労働者平均賃金~>

http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/minkan/index.htm



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とりあえずは1F書店下にある地下ピットに溜まった糞尿を完全に吸引し、高圧洗浄で痕跡を除去したが、これが1F旅行会社で夏場に発生している虫の発生源とは考えにくい。糞尿は旅行会社の便器下の塩ビ配管の穴から漏れていたが、トイレに虫は発生しておらず、謎の溝の内側から発生しているとのこと。そうであれば、他に原因がある。考えられる理由はただ一つ。汚水槽か排水槽である。この物件の1Fは半地下構造であり、地下の汚水槽と排水槽に一時的に水を溜め、ポンプで汲み上げ、下水道に流すシステムだ。要は下水管の本管よりも汚水槽と排水槽が下にあるのだ。本来は望ましくないが、狭い土地に少しでも多くの戸数を作るための苦肉の策なので、仕方ない。とにかく汚水槽と排水槽が怪しいということで、早速調査してみようとするのだが、点検口が錆で固着していて人力では開かない。どうやら前所有者は汚水槽、排水槽を点検したことが無いらしい。仕方ないので、電動ドリルでこじ開けることになった。点検口を開けてビックリ。なんとここにも水深数メートルのプールが・・・。しかも汚水槽と排水槽の両方。水が溜まっている理由は明白だ。汚水ポンプと排水ポンプが故障して止まっているからだ。排水だけなら施工業者のA社で対応可能だが、汚水もあるので、例のバキュームカーを所有している業者に再び作業依頼することになった。通常、2回目の利用であれば、割引がありそうなものだが、この業者にはそのような発想はないらしい。「日野市内でバキュームカーを保有しているのはウチだけなので、こちらの提示金額で嫌なら他でどうぞ」と言わんばかりの高額作業費。足元を見られて作業金額を提示されるのは納得いかないが、前に進むためには仕方ない。(続きは次回!)



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            <バキュームカー再度出陣!>

バキュームカー出陣!


           <電動ドリルでこじ開けた点検口>

電動ドリルでこじ開けた点検口



            <今にも溢れ出しそうな汚水槽>

今にも溢れそうな汚水槽



         <汚水槽に比べればまだマシな排水槽>

汚水槽に比べればまだマシな排水槽

とりあえず1F書店下の地下ピット内に溜まっている水深2mの糞尿を何とかしなくてはいけない。糞尿なので、普通の業者では汲み取ることができない。ここは汲み取り式トイレの糞尿を吸引するバキュームカーが必要である。因みに日野市で糞尿吸引専用のバキュームカーを所有している業者は1社しかない。この業者はこちらの足元を見ているようで、動きが遅く、作業料金がとても高い。作業依頼をしてから1週間後にようやく「糞尿吸引日」が決まった。地下ピット上層部の発酵した糞尿、中層部、下層部の生物分解途中の糞尿、底部の汚泥を全て吸い上げ、高圧洗浄で糞尿の痕跡を洗い流さなくてはならない。相当大掛かりな作業である。この前のような糞尿逆噴射だけは避けたいので、施工業者、養生を担当するA社のY氏に完璧な仕事を依頼しつつも、万が一に備え、書店内の高価な書籍と床積み書籍は1Fの空室へ避難させた。購入当初、15戸中5戸あった空室は、この頃には2戸まで減っていた。うち1戸は書店の避難先として利用し、もう1戸のトイレは旅行会社の仮設トイレとなった。糞尿吸引作業完了後には旅行会社トイレ内の塩ビ配管(糞尿の漏水元)を修繕しなくてはならず、しばらくトイレが使えないためだ。もしこの時点で、満室だったら、書店の大量の書物の置き場や旅行会社のトイレをどうするか、大きなに問題になっていただろう。トイレは共用部分に仮設トイレを設置すればよいのだが、書籍は湿気や温度、盗難のリスクを考えると、屋外のコンテナ倉庫では無理だ。室内で湿気や温度が管理できるようなスペースを借りなくてはならない。いずれにしても結構なコストが掛ってしまうが、空室を活用すれば、室内クリーニング代だけで済むので格安だ。この時だけは「空室がちょうど2戸あって良かった」と心底思った。当然だが、空室があって良かったと思ったのは、後にも先にもこの時だけである。(続きは次回へ!)


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             <バキュームカー出陣!>  

バキュームカー出陣!


          <糞尿吸引作業前の書店内の養生>



                <糞尿吸引開始>



           <高圧洗浄作業のための送風機>



              <糞尿漏水部分の補修>







1F書店内の養生を十分に行い、旅行会社直下の汚水溝の高圧洗浄を行ったのだが、緊急事態が発生。なんと、1F書店内に大量の汚水(糞尿)が逆流してしまい、養生の隙間から糞尿が書店床に流れ込んでしまったというではないか。作業を担当したA社から報告を受けた際には頭の中が真っ白になってしまった。しかし、「作業の全責任は私が負う」と言ってしまった以上、A社を責めることはできない。殆どの書籍は梅雨時期の湿気対策のため、10cm程度床から底上げしたラックに陳列してあったが、新入荷の書籍は床に直置きしていたため、糞尿まみれになってしまった。店主は怒り心頭で、A社作業員にブチ切れ、管理会社には「詫びを入れろ、営業保証しろ」と騒ぎ立てていた。当たり前である。大事な商売道具が糞尿まみれになったのだから。そこで私は即座に店主のアポを取り、管理会社P社のN氏とともに翌日、菓子折りを持参して謝罪に向かった。2、3発ぶん殴られることを覚悟していたが、所有者が直接謝罪に来たということで、店主は冷静に対応してくれた。話し合いの結果、書店内を完璧にクリーニングし、1ヵ月分の営業保証、新しいラックの設置で和解することができた。でもなぜ糞尿が噴出したのだろうか。理由は単純だ。汚水溝の設計図面では傾斜が十分取れていたが、現況は傾斜が全く無く、高圧洗浄の際に発生した大量の水が汚水溝を逆流したからだ。問題は糞尿と逆流した水が漏れた個所。後日の調査でようやく判明したのだが、1F旅行会社店舗内トイレの塩ビ配管にできていた穴であった。




         <便器取り外し後の光景(1F旅行会社)>



           
            <糞尿と大量の水の漏水個所>


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虫の発生源であると思われる汚水溝を高圧洗浄することになったのだが、その事前確認として、汚水溝のチェックが必要である。汚水溝をたどっていくと、1Fテナント(古本屋)下の地下ピットを経由して、旅行会社のトイレにつながっていることが分かった。その調査の過程で、驚くべきもの光景を目の当たりにすることになった。古本屋の点検口から地下ピットを調査してみたら、なんと水が溜まっているではないか。しかもその水を調べてみたら、アンモニアが検出され、「糞尿」であることが判明した。しかもそのは水深2m。私も立ち会ったが、糞尿なのになぜか臭いがしない。長年熟成されてきたため、表面部分は発酵して臭いを発していないようだ。重量がある汚物は底に沈殿し、発酵したものが表層部を蓋のように覆っているものと推測された。しかし、汚水溝をいくら点検しても、糞尿が漏れるような穴が見当たらない。A社の担当者Y氏は途方に暮れていた。ベテランである彼の経験を持ってしても、その発生理由が全く分からない。旅行会社の便器から発生している糞尿であることだけは分かっていたのだが。そこで、リスクはあるが、高圧洗浄で水を流してみて漏水個所を特定しようということになった。ただし漏水部分がどのような状態になっているのか全く分からなかったので、地下ピット上の古本屋の床を厳重に養生して作業することになった。しかし、前話の通り、まったく想定外の落とし穴が口をポッカリ開けて待っていた。


                       

              <水深2mの糞尿プール>


新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。筆不精のため、前回から期間が空いてしまい、申し訳ございません。


管理会社のN氏とともに、1F(道路面から見れば半地下)の旅行会社の事務所を訪問したが、一見特に変わったところは見当たらない。しかし、旅行会社の社長の説明を受けて驚愕した。なんと室内の謎の溝に金属製の蓋してがあるではないか。前所有者の説明によれば、天井から漏水するため、旅行会社が入居する直前に50万円もかけて溝を掘ったというのだが、天井から漏水した形跡は見当たらない。確実に嘘である。そもそも天井から漏水する物件を修繕せずに賃貸するなんてあり得ない。しかも旅行会社の社長は賃貸借契約時に天井漏水に関する説明を受けていない。前所有はとんでもないオーナーである。恐らくだが、謎の溝はゲリラ豪雨等で排水処理しきれず、浸水した際の排水溝なのだろう。案の定、その溝は汚水溝に直結していた。どうやらその汚水溝に溜まった水から得体の知れない虫が発生しているようだ。そうであれば、汚水溝に残っていると思われる虫の卵を高圧洗浄で流すのが先決だ。ということで、2棟目の大規模修繕でお世話になった建設業者A社担当者Y氏に作業を打診した。Y氏は室内の溝なんて見たことなく、高圧洗浄作業に関する不安を再三口にしていたが、旅行会社の社長に「天地神明に誓って完璧に工事をやり遂げる」と言ってしまった以上、やるしかない。作業に関する責任は全て私が負うという条件で、A社のY氏に高圧洗浄の作業依頼をした。しかし、この高圧洗浄作業に思わぬ落とし穴が待っていた。



        <1F店舗内にある謎の溝>

【旅行会社事務所内にある謎の溝】



       <汚水溝を確認するA社のY氏>

【汚水溝を確認するA社のY氏】





旅行会社の社長は私に、自らが直面している窮状を訴えたかったのだろう。「ひょっとしたら新しいオーナーなら何とかしてくれるかもしない」。淡い期待を持ちながらそう思ったのだろう。だからこそ大変忙しい中、連絡翌日のアポに応じてくれたのだと思う。そう考えると、何ともいたたまれない。それと同時に大切な入居者様を粗末に扱っていた前オーナーに対して沸々と怒りが込み上げてくる。しかし「瑕疵担保責任の免責」が購入条件であったため、どうしようもない。自分で何とかするしかない。まずは誠意のある謝罪が必要だ。顧客への謝罪は銀行員時代から慣れている。当然ながら、このケースでは手ぶらでは面談できない。謝罪の品が必要だ。ただし謝罪の品がありふれたものであると、誠意が伝わらない。その店にしか売っていない気の利いた品がベストだ。私は迷わず「ねんりん家」のバームクーヘンを選択した。意外と知られていないが、ねんりん家は電話予約ができるので、長い行列に並ばなくても購入できる。仕事を定時で切り上げ、東京駅八重洲北口にある大丸1Fの「ねんりん家」で予約しておいたバームクーヘンを受け取り、面談場所へ急いだ。偶然にも旅行会社の社長の自宅は私の自宅のすぐ近くであり、何となく良いご縁を感じていた。実際に社長と面談してみると、非常に話の分かる方であり、「あなたは悪くない。悪いのは、再三再四のクレームにも関わらず、何ら対応しなかった前オーナーだ。あなたは騙されたようなものなので、謝罪の品まで用意してもらって、逆に申し訳ない」とまで言っていただいた。経営者特有の人心掌握術かもしれないと思ったが、これを利用しない手はない。間髪入れず、「不動産投資ではこのくらいのことは想定の範囲内です(本当は冷や汗たらたら)。御社がご納得するまで、修繕工事を完璧にやり抜くことを天地神明に誓ってお約束いたします。」と切り返した。購入後間もない時期に16室中、5室空室の状態で、テナントまで退去してしまったら、賃貸経営上非常に厳しい。とにかく私は必死で誠意を訴え、何とか入居し続けていただくことで了解を得られた。もちろん完璧な修繕工事が必須条件である。後日、修繕工事の打ち合わせのため、管理会社担当者とともに旅行会社店舗を訪問した際、絶対にあり得ない光景を目の当たりにすることになるのであった。(続きは次回!第21話から引っ張り続けて申し訳ありません。)

3棟目を決済してから約2週間後の11月上旬に管理会社P社(前出の客付け会社)の担当者であるH氏からメールが送付されてきた。文頭には1Fのテナント(旅行会社の店舗)が口頭ベースで退去を申し出てきたという内容が書かれていた。「退去」という言葉を目にした時、「タイミングが悪いな~」と半ば諦めかけていたが、退去の理由を見てビックリ仰天した。なんと春から秋にかけて、店舗内にハエのような虫が大量発生し、仕事にならないというではないか。しかも前所有者(3棟目の売り主)に惨状を伝えても、その場しのぎの対応のみで、根本的な対処をしてくれず、しまいには、「虫は屋外から入って来てますね~」と言われてしまったそうではないか!普通に考えれば、大量の虫が店舗内に発生するなどありえないし、駅から近い住宅街という立地から考えても、虫が外部から、しかも大量に侵入してくることなど、到底考えられない。でも現実に店舗内で大量の虫が発生しているということは、その発生原因が店舗内部にあるということを示していた。その旅行会社の社長は前所有者の度重なる対応の悪さに不信感を抱き、所有者が変わったタイミングで退去したいとのことだった。しかし、H氏のメールには、今後の対応如何では、退去を止められるかもしれないというニュアンスの文言があったため、H氏に旅行会社の社長とのアポイントを取るよう指示し、翌日には何とかアポが取れた。中小企業の社長は一人何役をこなさなくてはならないため、かなり忙しい。それなのに翌日にアポが取れたということは、退去以外で私に伝えたいことがあるのだろう。私の対応次第で旅行会社の入居継続か退去が決定する。そう思った瞬間、元営業マンとしての闘志が湧き上がってきた。(続きは次回!)

例のごとく、3棟目の物件もS銀行新宿支店に融資をお願いしたが、1棟目、2棟目とは比較にならないほど審査に時間が掛かった。通常であれば1週間程度で審査結果が出る銀行だが、3棟目は全く違った。連日のようにP社のH氏経由で支店担当者からのヒアリングがあり、かなり細かく資産背景等を調べられた。結局稟議の本部決裁を取得するまで1ヵ月近くを要したが、考えてみれば普通の銀行並みだ。そして2012年10月中旬に決済日を迎えたのだが、その時の売り主ご夫妻の様子が気になった。自分の所有物件を格安で手放すというのに、妙にテンションが高く、饒舌だったからだ。聞けば、この物件を売った資金で収益物件を買い直すというではないか!そうであれば、少しでも物件を高く売却する努力をするはずだが、この売り主はそれを全くしていない。「何かがおかしい。」と思いながらも、内心では杞憂だろうと思っていた。物件調査した際にも瑕疵になりそうな部分は見つけられなかったし、入居者属性も良好で、滞納者もゼロ。購入時に16戸中5室空室があったが、自主管理のため売り主の動きが悪いためだろうと確信していたし、この程度の空室なら許容範囲内だった。しかし言い知れぬ違和感を拭い去ることはできなかった。本来であれば、自分の条件に合う物件を手にできて、ハッピーな気持ちに満たされるはずだが、その時はそうは思わなかった。帰りの電車の中で、「これから何も無ければ良いのだが・・・」と祈るような気持ちでいっぱいだった。その後程なくして、「言い知れぬ違和感」が現実のものとなり、普通の収益物件では考えられないような事態に次々と遭遇することになった。(続きは次回!)