9月某日、曇り、台風接近中。
東京へは、24時頃最接近の予報。
世間では、「今日は早く帰宅して、台風に備えよう」という空気の中、スピニン副主宰の榎本鉄平から、以下のような連絡がFacebookのグループに上がった。
「今日の深夜から、俺の台本の読み合わせをしたいんだけど、来れる人ぉ?」
…マジこいつ…危機管理意識というモノがないのかと疑ったが、一応
「空いてるよー」
と返信。
さて、他のメンバーはどうかしらんと思っていたら、問い合わせが急過ぎたので、全員がNG
台風も近づいて来てる事だし、僕と鉄平君の2人だけなら今回は中止かなと半ば思いながら一応
「2人でやるかい?」
とメッセージを送った所
「やろうかww」
という返事。
…マジこいつ…こういう事では降りないなと苦笑しつつ、集合場所である高円寺に向かう。
外は嵐の前の静けさ…。
苦笑いはしたが、とはいえ、僕は嫌々ではなかった。
逆に、こういう場を欲していたと言っても良い。
通常のリハだと「本番」を、つまりお客様に観ていただくことを前提に台本に向かい、役作りをする。
そうすると、どうしても発想が無意識に限定されてしまう事がある。
そうではなくて、もっと自由に、役として成立させる事を考えないで、役を生み出す場が欲しかったのだ。
そうして出力されたモノについて、あーだこーだとディスカッションして、自分の、僕だけのメソッドを研究していきたいのだ。
さぁて、これは楽しみだぞぉ…
スタジオに入り、台本に目を通す。
ざっと目を通した後、鉄平君が
「じゃあ、何ページから何ページまで、けんちゃん1人で全キャラやって」
…はぁ
驚いて僕が
「君は」
「だって、俺読んだら、ちゃんと聴けないじゃん」
…マジこいつ
「俺1人でやったら、落語やないかい」
と、訴えた所、ちょっとだけ一緒にやってくれた。
2人で、4時間ほど初見の台本2本を読み合わせる。
途中2時ごろ休憩したら、外は大嵐っ
…全然気づかなかった
かなり集中していた証拠である。
初見の本読みというのは、本当に疲れるのだ。
読みながら、自分のキャラと相手のキャラの関係性、シチュエーションの把握など、瞬間的に考える事が怒涛のように押し寄せる。
最早、反射神経と言って良いかもしれない。
…が…
これが楽しいのだ。
こういうのを求めていたのだ。
気がついたら、嵐は去っていた。
頭痛がするくらい疲れたが、これは定期的にやろう。
積み重ねたら、今までとは違う風景を見る事が出来るかもしれない…。
またやろうぜ、鉄平君