読み応えたっぷりの上下2巻
2009年に平成20年度(第59回)芸術選奨文部科学大臣新人賞 受賞
事件が動くのは実質下巻から。兎も角「序奏」が長い。この序奏が崇に降りかかる悲劇の理不尽さ、現実の歪みをなるほどね、と納得させるモノにしてるのかな。家族間のコンプレックス。少年犯罪から SNSを口の掃き溜めにしてる現代人の姿、思い込み捜査による警察の恣意的な証拠隠滅 てんこ盛りの内容だけど 盛りだくさん詰め込んでる割には ごちゃついてないのはこの作者らしい。
今日ママンが死んだ・・
読み進めるうちに 脳裏をよぎったのはこの台詞・ってかカミュの小説。
理不尽さが自分の中で繋がったんだろう。真犯人の動機も「はぁ?」だが 崇が無実の罪で非難される過程も理不尽この上ない。
まぁ警察の先入観に基づく捜査は酷いの一言、正義という名の大義を傘に「悪の行使」を存分に発揮してる。やってる女とは無実の人間を冤罪に陥れようとしてる「悪」以外の何者でもない。
悪行を行使しながら 警察自体は正義を行使してると思い込んでいる。歪んだ正義で悪が発動するのがよく分かる小説。
殺害された弟の嫁の先入観、勘違いから なんの瑕疵もない崇は弟殺しの汚名を被せられる。マスコミによって一度なすりつけられた汚名は いくら冤罪だったと証明されても 後の祭り。元には戻らない。マスコミ 大衆、世間によって ただ「理解できない人物」というだけで 瑕疵のない崇は自殺に追いやられたようなもん。彼が疑われるのは理解出来ないって理不尽な理由を置いて他にない。
やり切れん終わり方だな。
読み応えたっぷり