以下のシステム①とシステム②はどちらが安定だろうか。




システム①の運動方程式は
m1 * y1(t) ’’= -k1 * y1(t) - c1 * (y1(t) ’- y2(t) ’)
m2 * y2(t) ’’= -c1 * (y2(t) ’ - y1(t) ’) - k2 * y2(t)
ただし、変数の肩の’は時間 t による微分を表す。

システム②の運動方程式は
m1 * y1(t) ’’= -k1 * y1(t) - k2 * (y1(t) - y2(t))
m2 * y2(t) ’’= -k2 * (y2(t) - y1(t)) - c1 * y2(t)’

上の運動方程式で、新しい変数 x1 , x2 , x3 , x4 を以下のように導入する。

x1 = y1
x2 = y1 ’
x3 = y2
x4 = y2 ’

上の運動方程式で、簡単のために、m1 = m2 = k1 = k2 = c1 = 1 と置いて、変数 x1 , x2 , x3 , x4 で表すと、
システム①の運動方程式は
x1 ’ = x2
x2 ’ = -x1-(x2-x4)
x3 ’ = x4
x4 ’ = -(x4-x2)-x3

システム②の運動方程式は
x1 ’ = x2
x2 ’ = -x1-(x1-x3)
x3 ’ = x4
x4 ’ = -(x3-x1)-x4

ここでシステム①、②の運動方程式の右辺を行列表記した時の係数行列をそれぞれ A1 , A2とすると、係数行列 A1 , A2 の固有値は フリーソフトの Scilab を使って求めると

A1 の固有値は、以下の一組の共役複素根と重複実根である。
- 1.110D-16 + i
- 1.110D-16 - i
- 1.0000000
- 1.

A2 の固有値は、以下の二組の共役複素根である。

- 0.1048766 + 1.5524918i
- 0.1048766 - 1.5524918i
- 0.3951234 + 0.5068439i
- 0.3951234 - 0.5068439i

システム①の固有値を検討すると、固有値の実部はすべて負であるからシステムは安定である。
また、負の重複実根をもつので、システムは振動せずに減衰することになる。ここでは、直観的にm1 = m2 = 1 と置いたので、質量が等しいことにより、m1 が振動せずに減衰していくことになる。

システム②の固有値を検討すると、固有値の実部はすべて負であるのでシステムは安定である。
固有値のいずれも複素根であるので、m1 , m2 はいずれも振動しながら減衰していくことになる。

質量、ばね、ダンパ係数等のパラメータの採り方にも依存するので実験してみないとわからないが、質量が m1 > m2 のときは両者とも不安定になる気がする。また、システム①のほうが地面にばねがついている分、質量 m1 に外力が加わった時にショックアブゾーバとしては向いている気がする。