「毎日、毎日、自殺してる人がいますね。
年間3万人か。
あれはなんだろうね。
勝手に死んでるのかな。
いやぁ、誰かが追いやってるんですよ。
殺したやつがいるんですよ。

寒い箱に閉じ込めて、
死ぬのを待ってたやつがいるんですよ。

自殺はモザイクに隠された殺人だ。
自殺は…、
あれはモザイクの向こうのジェノサイドだ。」


これは、とあるドラマの台詞。



自殺ってさ、
そうなんだよね。
そうなんだろうな…って思う。

自殺のニュースが流れると、
自殺者は増える。
これは、 いわゆる「Well-known」


良い人だろうと、悪い人だろうと、
死は必ず訪れるもので、

だけど、自分で選ぶ必要はきっと無くて、

遺された者は、
なんでなんだろうってずっと考えて、
自分の無力さとか、
意味もなく感じたくらいにして、

ある時、自分がその人にとって足枷でも希望でも無かったってことを思い知るんだ。



僕には忘れられない死がある。


特に仲が良かった訳でもない僕が
彼の自殺の話を聞いたのは、
葬儀が終わって暫く経った頃だった。

人づてに電話口で聞く彼の訃報は
僕の生活にはまるで関係のない事で、
まさにドラマの中の話であるかのようだった。



けれど、
十年以上経った今でも、彼の死は
まだずっと僕の中に陰を作っている。

冬になると思い出す。

寒い夜。
蛍光灯の灯りが青白く見えたあの部屋の隅で、
たしかに僕は彼の死を聞いた。


別に忘れても良いのだろうと思う。

でも、なんだろう…。

忘れられないんだ。
僕が覚えているのはそれだけの理由。

「忘れられない」

それは彼の望むものだったのだろうか…。


そして、また僕は

今年の冬も思い出すんだ。








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