母の夢を見た



僕の母は全てを自分ものさしで測る


AはBじゃない

1は2じゃない

空は青で 雲は白で



幼い頃、リビングで花の絵を描いた


「見て、上手く描けたでしょ?」


その絵を見て

母は


「違うでしょ。花はそうじゃない。」


そう言って僕の絵の隣に 綺麗な花の絵を描いた

僕は絵を描くのをやめた





「左手で文字を書いてはいけません」

僕は右手で書く練習をした

鏡文字をよく怒られた

ある日、父から古いパソコンをもらった

見よう見まねでブラインドタッチを覚えた

文字を綴る時 左手を使えることが嬉しかった





母のモノサシは僕のとは少し違っている



「私はこう思う」

そう言って始まる母の主張は、

たぶん正論で揺るぎない

僕がどれだけ「違う理由」を話しても

そもそも 持ち合わせているモノサシが違うのだから相容れる訳がない。




ある日、僕は魔法の言葉を見つけた




それはしばらくぶりに 

実家に顔を出した日の事、

僕の近況を聞くなり、

母の「私はこう思う」が始まった

主張は少しワガママに展開していった。

ひとしきり聞いて、

僕が言った。



「そうかもね」







僕は母を否定したことがない

いや、誰の事も否定しない

相手だって持論を展開しているだけで

僕の意見など必要としていないのかもしれないから

それに

否定されるのは悲しい


母の前で 僕はあまり主張をしない

僕の事は自分が一番よく分かっているし


大切な人との事は

自分とその人が分かっていれば十分なんだ






先日

「貴方は反抗期もなくて、育てやすかった」

と 母が言った。



僕は

「そうかもね。」

と 言った。







ここまで話しても 

やはり母を嫌いじゃないのは何故だろう?

子供は親を選んで産まれてくると言うけれど

本当だろうか?

僕もあの母を選んで生まれてきたのだろうか?





愛はカタチには残らないけど

不思議なほど

その手触りは心の奥に ちゃんと残ってる






母さん

明後日 帰省します。

お土産は貴女の好きなアーモンドチョコです。






Raid