美歌 22歳
スナックでアルバイト
好きな歌手:Adel
 

 
美歌:
ママ、相談があるんだけど。
 
麗花:
なに?どうしたの?
私も話があるのよ。お先にどうぞ。
 
美歌:
え?何?
 
麗花:
いいの、いいの。先に聞くわ。
 
美歌:
じゃぁ、あのね私。
歌の勉強をしようと思うの。
 
麗花:
あら、いいじゃない。
美歌の口から
初めて前向きなことを聞いたわ。
 
美歌:
それで、ここからが問題なんだけど。
昼間働いて、夜レッスンに行きたいの。
 
麗花:
いいじゃない。いいことね。
 
美歌:
いいっていうけどさぁ。
ママの手伝いが出来なくなるってことだよ。
 
麗花:
そうね。ここからは私の話。
私も、この店閉めようかと思ってるの。
 
美歌:
ええ~~!どうして?
 
麗花:
だってね。
あの人が
帰ってくるんじゃないかと思って
ずっとここに居続けたのよ。
もう、待たないって決めたから
ここに居る意味がなくなってしまったの。
 
美歌:
ママ...。
 
麗花:
美歌。
私たち、それぞれが失くしたものを
お互いが補ってきたんじゃないかと思うの。
美歌がいてくれたお陰で、
私も、これまでなんとか生きてこれた。
でも、美歌はまだ若いし、
そろそろ新しい世界を見るべきよね。
 
美歌:
ママはこれからどうするの?
 
麗花:
旅に出るわ。
行きたいところがあるのよ。
 
 
ママにはママの。
私には私の、
新しい世界が近づいてきた。
 
 

キミノココロノイエスハナニ?