4分間のピアニスト | 蘭のブログ

4分間のピアニスト

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2006年 ドイツ  監督:クリス・クラウス


ピアノ教師として刑務所で働くトラウデ・クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は
自分の演奏に合わせ机でピアノを弾くしぐさをしていたジェニー(ハンナー・ヘルツシュ
プルング)に気が付く。ジェニーは天才ピアニストとしてコンクールに何度も優勝する様な
実績を持ちながら道を踏み外し、刑務所に入れられていた。誰とも交わろうとせず、衝動的
な暴力をふるう問題児でもあった。
クリューガーは彼女に特別レッスンをし、コンクールに出場させようとする。



まず、体の底から沸き上がるような激しい暴力的なまでのピアノの演奏に圧倒されてしまう。
手錠をされたまま、後ろ手にピアノを弾くシーンには驚かされた。
爆発のような演奏は聞いている人たちに感動を与えるが、クリューガーは一言「テクニックは
認めるが下劣な音楽だ。」と決めつける。クリューガーにとってクラシック以外の音楽は音楽と
して認められないのだ。
また、クリューガの感情をそぎ落としたかのような性格は形式を重んじ、型通りのことができ
ないものをみとめようとしない。例えそれがかわいい幼い子供であっても。

「ピアノのレッスンをするのはあなたを更生させるためなどではない。あたなという人間には
興味が無い。関心があるのは音楽だけ。才能のあるあなたにコンクールに出て欲しいだけ。」
といいきるクリューガー。
ジェニーの過去にもまったく興味を示さないし、自分の過去も語ろうとはしない。
二人はよく似ている。二人とも誰も信じず誰にも心を開かない。

ジェニーはクリューガーに絶対に従うという約束を守りレッスンに励む。
コンクールは1次2次と通り、いよいよ最終選考を迎える。
怖さからコンクールを逃げ出そうとするジェニーにクリューガーは初めて自分の辛い過去を話す。
それは感情を捨切り捨て他人に興味を示さなくなるのにふさわしい凄惨な過去だった。

最終選考会の舞台で、感情を抑えきれないように演奏するジェニーの弾く曲は課題曲のクラシック
ではなかったが、ここではじめてクリューガーは自分の心を型から外し、解放された心はジェニー
の弾く音楽を素直に素晴らしいと認めるのだった。
ジェニーの全てを注ぎ込んだような魂を揺さぶられる演奏に観客は圧倒されそして惜しみない拍手
で讃える。

お辞儀にこだわるクリューガーに反発し、自分は絶対にお辞儀をしないといっていたジェニー。
演奏後にクリューガーを見つめながらゆっくりと両手を広げお辞儀をするラストは、粗雑なジェニー
がまるでお姫様のように美しく見えた。