インファナル・アフェア無間序曲 | 蘭のブログ

インファナル・アフェア無間序曲

一作目の「インファナル・アフェア」以前、マフィアから警察に入ったラウと警察からマフィア
へ潜るヤンがそれぞれなぜそうなったか、という過去が1991年から1997年の香港返還まで描かれ
ています。
前作のアンディ・ラウとトニー・レオンが出てこないということで、作品として力不足だとも言わ
れていますが、私は若い頃の二人の悲哀がよく描かれていて、二人の心情を描くという点では一作目
に勝るとも劣らない作品になっているのではないかと思いました。
一作目でも思ったのですが、この「無間序曲」を見ても、ヤン(ショーン・ユー)はラウ(エディソ
ン・チャン)以上に辛さを背負っているように思われ肩入れしてしまいます。

ヤンはマフィア出身という出生のために、首席で卒業したにも関わらずそのままでは警察官として
認めてもらえず、異母兄弟であるマフィアのボス、ハウの元に入り込み警察に情報を流します。
「早くしないと、僕が尖沙咀のボスになってしまいますよ」
ルク警視の墓参りに来たヤンはウォン警部に言います。ヤンは確かにそのくらい優秀で兄からも深い
信頼を得るようになっています。
自分がマフィアである兄のもとに潜入することで、この抗争の決着がつくのなら、と警察を離れる
ことに意義を見出そうとするヤン。
それが結果的には血のつながった兄ハウを殺害させることになってしまったという悲しみ。
目の前でハウが撃たれた時のヤンのやるせない瞳がとても印象的でした。
このショーン・ユーは下から見上げる顔がジェームス・ディーンの寂しそうな顔によく似ています。

ラウも密かに思いを寄せていたサムの妻マリーを、自分の通報により轢き殺させてしまいます。
この時の車の中から一部始終を見届けるラウの瞳も悲しいのですが。
ラスト、酔っ払って警察に保護された若い女性がラウに「名前は?」と聞かれ、「マリー」と答えます。
うっすらと微笑みを浮かべるラウ。その微笑みの中には、悲しみよりも過ぎたことは過去のものとして
もう前へ進むしか無いという、非情な生き方を受け入れた決意を感じました。