「運命じゃない人」

2005年 日本
監督・脚本:内田けんじ
監督・脚本:内田けんじ
婚約破棄された桑田真紀はレストランで寂しく食事をしていたが、近くに座っていた男性二人連れ、宮田と神田に一緒に御飯を食べようと誘われる。宮田は付き合っていたあゆみにふられ落ち込んでいたところを、あゆみのことで話があるという神田にこのレストランに来るよう誘われたのだった。声をかけてきた神田は途中で退席してしまい戻ってこないのだが、残っていた宮田は真紀を気遣って家へ来るよう誘う。
「クラッシュ」も映画の冒頭がエンディングに繋がるという展開で、脚本がよく練られていて面白いと思いましたが、「運命じゃない人」の脚本はそれ以上の出来とみました。予算もクラッシュからみれば比べ物にならないくらいかかっていないと思われますが、映画は予算ではないことを再確認しました。日本の映画も捨てたもんじゃない。大変面白い。お薦めします。
お話しは、婚約破棄された桑田真紀(霧島れいか)が一人寂しくレストランで食事をするところから始まる。「運命じゃない人」という題とこの冒頭のシーンから、振られた女性が新たな恋を始める話かと思ってしまうが、この映画はこれからとんでもない方向に展開していく。
登場人物はサラリーマンの宮田武(中村靖日)、宮田の親友で私立探偵の神田勇(山中聡)、元宮田の恋人で詐欺師のあゆみ(板谷由夏)、現在のあゆみの恋人で暴力団浅井組の組長浅井(山下規介)、そして婚約破棄された桑田真紀の5人。宮田を除く4人にはそれぞれ「実は・・・」がある。実によく練り上げられた脚本に驚く。あゆみが浅井の元から逃げ出すときに持ち出した2000万円を巡る「実は…」が作品全体にアクセントを付け、話の展開を面白くしている。
この作品は映画館で一度見ただけでは満足できないかもしれない。DVDで2度、3度と行きつ戻りつしながら話の展開を確認してみたくなる。何度か確認してみると、成程やはりとてもよくできていると再度感心してしまう。
ここで唯一宮田にだけは「実は…」がない。とてもいい人で相手を疑うことを知らない宮田に神田は「お前はなんでそう簡単に人を信じちゃうんだよ。お前は一人だけ違う星に住んじゃってるよな。早く地球に住みなさい!」という。彼のために神田が大変な思いをしたことを全く知らない宮田は、熾烈な駆け引きを繰り広げてきた4人からみると清らか過ぎてかえって滑稽なほどだ。
冒頭で、別れたあゆみの写真をぼんやり眺める宮田に、看護婦と付き合っているという会社の先輩が部屋を貸すよう半ば強引に約束を取り付けるが、この看護婦は実は…、と勝手に想像しましたが(神田の調べ上げたあゆみのプロフィールの中にあった写真から…)深読みしすぎかも・・・。