『うつせみ』を見ました | 蘭のブログ

『うつせみ』を見ました

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2004年  韓国  
監督・・・キム・ギドク

青年テソク(ジェヒ)はバイクで留守宅を探し、その家に侵入し留守電をチェックして長期不在を
確認すると、シャワーを浴びたり、冷蔵庫から勝手に食料を出し食事を作ったり、お酒を
飲んだり、テレビを見たり、ベッドで眠ったりして、束の間その家の住人のような生活を
し、住人が帰ってくる気配がすると家を出る、という生活を続けている。

そんなある日いつものように忍び込んだ豪邸には、独占欲の強い夫に暴力を振るわれ続け
抜け殻のようになった孤独な人妻ソナ(イ・スンヨン)が息をひそめていた。ソナはテソク
に気付かれないように彼の行動を観察する。
テソクはソナに気付かず安心しきって眠っていたが、ソナの視線を感じて驚く。二人の視線が
重なったその時電話が鳴る。電話の向こうで怒鳴る夫。その様子を見ていたテソクはソナの
立場を理解する。一度はその場を立ち去ったテソクだがソナが気になり、再びソナの家へ行く。

風呂場で号泣しているソナを見て、テソクはCDをかけ、服をそろえ、彼女の心を癒そうとする。
帰宅した夫になじられ辛そうにしているソナを見て、テソクは彼女を連れて家を出る。
そして今度は二人で留守宅に忍び込み生活する日々を送るようになるのだが・・・。


テソクは最後まで言葉を一言も話しません。セリフが全く無く、目と表情のみの演技なのですが、
彼の気持ち、考えはとてもしっかりと伝わってきます。テソク役のジェヒの演技が素晴らしいです。
この映画の成功はジェヒの演技力抜きには語れない、です。

ソナもセリフは無く、同じように表情のみでテソクに心を救われていく様子を表現しています。

ソナが初めて話した言葉が最後の場面でテソクへの「サランヘヨ 愛している」という
セリフだったのがとても印象的でした。

「この現実が夢かうつつかは、誰にもわからない」という最後のテロップがこの映画の全てを
語っています。

二人は非現実的な日々を送っていきますが、言葉を交わさなくてもお互いの心が通じ合い
癒しあい、信頼しあい、満たされているのがよく伝わってきます。
音楽も控えめで、セリフも無しという難しい条件の中でテーマを見るものに伝えようという
監督の挑戦に驚きましたし、それでしっかりと伝わってくる事にも驚きました。

見慣れた映画の違った表現方法に、恐れ入りました、です。