百億の昼と千億の夜 (萩尾望都/光瀬竜) | 蘭のブログ

百億の昼と千億の夜 (萩尾望都/光瀬竜)

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『百億の昼と千億の夜』   萩尾望都


原作は光瀬竜さんのSFです。

西方の辺境の村で「アトランティス王国の滅亡の原因はこの世界の外にある」と
知らされたプラトン。プラトン、シッタータ、ナザレのイエス、阿修羅王は世界の
創生、人類の誕生、歴史、興亡の影に潜む真実を突き止めようとする。



光瀬竜さんの原作を先に読んでいたので、これをどのようにマンガ化したのか
とても興味深く読みました。
結果この長編をよくぞここまで、というくらい巧にコンパクトにまとめられていて吃驚でした。
原作と変わらないのにこの短さ・・・。萩尾さんの構成力に脱帽の一作です。

私はこの本の中で阿修羅王が一番好きだったのですが、萩尾さんの描く阿修羅王は
私のイメージにあまりにもピッタリで、本当に感激しました。
少女なのですが、私にはどうしても少年に思えてなりません。



光瀬さんも阿修羅王が大好きだったそうで、阿修羅王にスペース・マンを移しこんだそうです。

「始めは名誉や報酬や、冒険心を満たすことだけで宇宙へ乗り出していった男たちが
度重なる挫折や敗北の果てに到達するものこそ、醒めた己の心の中の、もはや帰ることも叶わぬ
時の流れと、昔の自分との恐ろしいまでの隔たりではないでしょうか。

どこへ?何のために?かれらは茫漠たる星の光に身を託してさらに旅立ってゆきます。

魅せられるとはそういうことなのでしょう。」


「百億の昼と千億の夜」の光瀬さんの後書きです。
私の大好きな一文です。宇宙への、SFへの心をまさに言い当てていると思いました。


萩尾望都さんのマンガはSFとしても素晴らしいですが、
更にこころの奥底をも見つめ直させてくれる、哲学書でもあると思いました。