夏の庭 (湯本 香樹実) | 蘭のブログ

夏の庭 (湯本 香樹実)

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『夏の庭』   湯本香樹実   平成4年初版



「死んだ人って見たことある?怖いけど、見たい。知りたい事は知りたいんだ!」

町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。
生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。
夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ。
いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え初めていたのだが・・・。

喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちの一夏を描いた物語。




木山、山下、河辺の三人の少年はそれぞれ子供なりに家庭に問題を抱えています。
ただ彼らはそれをまわりから見守るだけであり、大人の愚痴とも付かないような話
を聞くだけなのです。

そんな夏の日、一人の今にも死んでしまいそうに見える老人と出会います。
このおじいさんとの付き合いは見張るもの見張られるものの関係から不思議な友情に
変わって行きます。

このおじいさんとの付き合いが、三人にとっては大人との始めての対等な付き合いだったの
ではないでしょうか。

「死ぬ」ことへの好奇心で始まった付き合いはおじいさんが「死ぬ」ことで終わります。
でもおじいさんがいなくなっても、庭にはたくさんのコスモスが咲き、家や庭が取り壊されても
彼らの心の中にそれらは何かを残していきます。中学生になっても、大人になっても。


中学受験でよく出題されるということからこの本を知りました。(だいぶ昔の話ですが)
中学の入試で取り上げられる作品には面白いものが多く、テストに載っている抜粋文を
つい読みふけってしまいます。