シルミド | 蘭のブログ

シルミド

2003年  韓国
監督:カン・ウソク

1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による青瓦台(韓国大統領府)襲撃未遂事件が発生。
同年4月、韓国政府はその報復としてシルミド(実尾島)に死刑囚など31人を集め、
極秘に金日正暗殺司令を下した。
31人はこの年月から684部隊と名付けられ、特殊部隊工作員として過酷な訓練を開始する。
3年後、優秀な工作員に仕立て上げられた彼らに、暗殺の実行命令が出る。
しかし、決行目前になって政府の方針が変わり、急遽撤退命令が出される。
突然目標を失い、どうしたらよいのかわからない日々を過ごしている彼らに対し、
暗殺計画そのものの発覚をおそれた政府は、軍に684部隊全員の抹殺を命じる。
これに気付いたシルミド部隊員は、逆に指導兵(マンツーマンで彼らを訓練していた
下士官ら教官)を殺害し島を脱出、大統領府に向かうが・・・



この映画は1971年8月に発生した韓国空軍特殊部隊の軍事叛乱という実話がテーマになっています。

この映画の柱は「国家が犯罪者を都合がいいように利用し、政治的に邪魔になったので抹殺した」
という点ですが、これについては全てが事実ではないという説もあり、確かめる術を持ち合わせて
いないので、あくまでもフィクションの映画として(政治的な批判は抜きにして)観ました。

684部隊員はみんな犯罪を犯した死刑囚や重犯罪者であり、どんなに過酷な訓練に耐えすばらしい
工作員になったとしても、英雄にはなれないのですが、彼らがより良い死に方を求めて懸命に
生きようとする姿は胸に迫るものがありました。

束の間の訓練兵との心の交流や、ちょっとした仲間への思いやりなど、過酷な状況下なればこそ
暖かく感じられ、少しだけ救われるような気がしました。

犯罪者となり人生を投げたような彼らですが、最後に、乗っ取ったバスの中で大声で一人一人名前
を呼び上げ、バスの床や壁に血で自分の名前を書いていく姿に、やはり自分の存在をしっかり
認めてもらい、生きていきたかったのだと思い、辛く悲しい気持ちになりました。

久しぶりに最初から最後まで食い入るように見てしまった、面白い映画でした。