lavaの創作ストーリー用ブログ

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lavaの創作ストーリー『LAVARATORY』を小説化したものを載せています。
厨二病なバトル小説書いています。

「おうザイディン!」
「おう。」
ザイディンが襲われたと聞き、俺は直ぐにザイディンの元に駆けつけた。
丁度、彼は警視庁を訪れ、ハンター警部に事情聴取されていた。
それが終わったのか、2人が対話しているところに、俺は合流したのだ。
「テン、早かったな。」
「あ、あぁ…FCベースの方は、奴等の情報違いで強襲されていただけで…俺が行ったら直ぐに撤退してったよ…」
此処まで走って来たので、少々息を切らしてしまった。
それに対し、ザイディンは依然として落ち着いている。
「そうか…こっちも襲われたとはいえ、相手は3人程だったのもあって、俺の仲間も共闘してくれたし…懲らしめるにはとても容易だったな。」
「あぁ…それだったらいいんだが…標的になってんだし、迂闊にウロウロしない方が…」
「あぁすまん、だが外せない用事だったからな…」
「そ、そうか…」
すると、今度はスマホから通話を繋いだのか、ザイディンは片耳にそれを当てる。
「…どうした、電話か?」
「あぁ、此方の情報を奴にも聞いて欲しいと思ってな…ファルギアに掛けているんだが…」
小さく、コール音が聞こえる。
確かに、ファルギアと合流して分かれてから時間が経っているし、彼奴ともまた合流して、情報を共有したい。
いい加減治療も済んだだろうし…
「…出ねぇな…」
ザイディンはそう吐き捨て、スマホを耳元から離す。
…一体何をしてるんだか、あのナルシストは…
そこに、今度はハンター警部が口を挟む。
「その件なんだが、どうして奴等はザイディンを…」
「さぁ?」
「今迄の被害者と、何か共通点が見つかればいいんだが…」
…確かに。
それが分かれば、何かが繋がりそうな気がするんだが…
今のところは、戦闘した形跡に於いて、『痕同士に距離が空きすぎている』事くらい…
これが何か手がかりになるのだろうか…?
「そうそう。」
「…ん?」
そこに口を開いたのはザイディンだった。
「さっきの戦闘で気になった事が一つ。」
「ほう?…何だ?」
「戦っている最中、俺が放った技に、奴等は強く反応したんだ。」
「強く反応…?」
「あぁ、その技は、兄貴から伝授された技、空間技だ。」
「空間技…」
あの、例の空間と空間を繋ぐという…
ごく一部にのみ伝授され、戦闘法に於いて大きく優位に立てるようになるという、伝説とも称される技だったな。
「あれを使用した瞬間、奴等…目の色を変えやがった。」
「…それはまた何で…?」
「いや、分からん。だがきっと、何か理由があるのかもしれない。
「…そう、か…」
空間技か…
確かに俺にも持ち合わせていたら、戦闘法がかなり幅広くなるだろう。
今日だって、あの『古の廃墟』での戦闘であんなに苦戦する事もなかっただろうに…
…うん?
『古の廃墟』?
「どうした?…テン。」
「あ、あぁ…今日『古の廃墟』に訪れた時、俺とザイディンの2人でそこに向かって…んで、ザイディン、お前が狙われているって判明しただろ…?」
「あぁ、そうだな。…それが?」
「いやぁ、何か引っかかるなと思って…」
「…何がだ?」
「奴等は一直線に『古の廃墟』に来た。…何で予め、奴等は彼処にお前がいるって、分かっていたんだ?」
「…確かに。」
ザイディンが狙われているにしても、一直線にその場に来れるのには、不自然な部分がある。
…それこそ、ずっと俺達を付けてきたとしか…
…俺達を付けてきた…?
「…そういえば、あの時、あの建物に入る時に見ていた奴がいたな…」
「そんな怪しい奴が…?」
その呟きにそう返したのは、ハンター警部だった。
「あぁ。クリーム色の髪に、一部三つ編みをしていたような…もしかして、其奴が俺達をずっと付けてきて、密告したとしたら…
「いや、それは無い。…多分…」
「…は?」
急に否定してきたのは、ザイディンだった。
彼は、此方を見る事もなく、スマホの画面を触っている。
「それは無いって…何でそう言えるんだ?」
「…何でも、だ…そんな気がするだけだ…」
「…はぁ?」
謎の根拠、そして曖昧。
唐突なザイディンの態度に、俺はたじろいでしまった。
彼の視線は相も変わらず、スマホに釘付けだ。
…と、そんなところで。
「お。」
「うん?」
ザイディンが何かに反応する。
「いや、今な、新体制の白軍結成を計画しているんだ。」
「…ほう。」
「その結成の当事者である方と、連絡を取り合っていたんだが…」
そう言うと、ザイディンはメールをガン見する。
「そう、その当事者とは…半年前にあった惨劇で、アラウド達が対峙していた団体の一人。名を、リバース。」
「リバース…」
「…それで、その人が何て?」
ハンター警部は、そう聞いた。
「あぁ…俺達の今関わっている事件に関与するかは、未だ不明だが…もしかしたら手がかりになるかもしれない、ってな。あの団体にいた人物の中で、行方が掴めない奴が一人だけいるみてぇなんだ…」
「行方が掴めない…?」
…あの惨劇…
やはり、今回の事件と何か関係があるのか?そして、ザイディンは続ける。
「あぁ、その人物が…」

「くっ…貴様は一体…!」
「ふんっ」
SOS工場。
リドルと談笑していたその時、大きな音を立てて僕達の目の前に現れたのは、見た事もない人物。

黒い布で目元を隠し、大きな鉄球が繋がった棒を所持。
大きく跳ねる両サイドに、後ろに結わえ長く伸びる長い白髪。
明らかに、只者ではない事が悟られていました。
黙り込み、相手をじっと睨むリドル。
ポケットの中で執拗に震えるスマホにも手が伸ばせない程、僕はこの危機的状況を目の前に、焦りを隠せずにいました。
「一体…何者なのですか!?」
「俺の名は、ルダ。」
「…!?」
「リドルを、殺しに来た。」

続く。
…ここは、ノックスという街。
海沿いに位置するが、近いところに砂漠があるようで、砂混じりの風が吹き荒れる。
他の街との交流も盛んで、それなりに立派に栄えている。
俺が嘗て活動していたナイツロードという団体の、とある仲間がよくいる場所に、俺は足を踏み入れた。
野暮用で、久し振りにその仲間と会う約束をしているのだ。
…テンには、狙われている俺が単独行動を取るのは良くない、と止められているが…俺の今の活動として、欠かせない仕事の一つ…
この今日の予定を蔑ろにする訳にはいかないのだ。
するとそこに、足音が聞こえる。
…その足音は…複数?
「見つけたぞ、ザイディン…」
「…なっ…!」
間違いない。
例の事件の犯人の仲間だ。
こんな場所にまで…!
幸運にも、数は少なく…3人だな。
…見つかったのなら、やるしかない。
武器を、構える。
するとそこに…
銃声が一つ。
「!?」
「ぐあぁぁぁっ!」
敵の一人が血を噴き出し、呻く。
「ここは、ノックス…私のお気に入りの街を、汚さないでいただきたい…」
その声…
茶がかかった綺麗な白髪に、特徴的な糸目。
そしてその手には拳銃。
落ち着いた佇まいと微笑みが、プロフェッショナルな雰囲気を助長する。
「遅くなりました、ザイディン。」
「ゾイロス・イクシオン…!」
丈の長いジャケットを風に靡かせ、頭のてっぺんから髪をぴょんっと飛び出させる。
この彼が、当時の仲間だ。


「…何ですか?…彼等は…」
「実は今、巷で話題になっている事件の一味で…」
「なるほど、そうですか…」
そう言うと、イクシオンは拳銃を腰に仕舞い、両腕を横にしてやや屈み、構える。
「火傷には注意してくださいねっ…!」
すると途端に、イクシオンの衣服の袖から、赤色の帯が飛び出す。
それは熱を発し、まるで鞭のように動き出す。
「うおっ!?」
「うわぁっ!」
焦りながらも避ける敵達。
そこを、今度は俺が追い討ちをかける。
「グラウンドホーミングショット!」
追尾機能を備えた鉤を、地中から連続で飛び出させる。
だが、それを避けつつも武器で何とか阻んでいく。
「…なかなかすばしっこいですね…」
「あぁ…そうだな…」
そう呟き、俺は徐に眼帯を外す。
右眼に赤い炎を灯し、能力を拡張させる。
そして、イクシオンは再び赤い帯を召喚する。
「ふっ」
今度は鞭というより、敵達を囲うように帯を次々に張っていく。
徐々に動きを封じたところに…
「火炎の渦鳥!」
俺は鳥を模した炎を産み、自由な軌道を見せて数羽飛ばす。
その鳥が通過したところから、徐々にエネミーの体力を削っていく。
「ほう、興味深いですね。」
そう言うと、イクシオンも片手を振る。
すると、何と俺と同じ鳥が飛び出す。
「なっ!?」
「炎には別段、特化して器用だと自負していましてね…この程度でしたら…!」
更に手を振っていく。
すると、敵の居場所へ直線距離で鳥が次々に通過する。
「ぐっ…!」
「うぅっ…!」
同時に、相手の視界を奪っていく。
…なるほど、これは面白い。
そのまま、イクシオンが鳥を召喚していくのなら…
「…!…それは…!」
敵の一人が、薄ら目を開けて此方に反応する。
俺は片手を前に伸ばし、空間を一つ産んだのだ。
空間…その見た目はまるで小さなブラックホール。
鳥に気を取られて気付かれにくいうちに、背を向けている方向に、出口となる空間を召喚し…
そのまま、加えて技を召喚する!
「ダークヴァルガハンド!」
闇属性を練って作られた、真っ黒な手だ。
その手は俺の伸ばした手から次々に発射され、空間を通って敵の背後から飛び出し…
次々に貫いた。
「ぐあぁぁぁっ!」
「ぎゃぁぁぁ!」
叫ぶ敵達。
次々に蹲る。
そこに…
空間を通って移動した男の手足が、炎を灯して奴等を襲う。
イクシオンだ。
渾身の手刀や蹴りが、とどめを刺していく…
「ぐはぁっ!」
「がぁっ…!」
「ぐほっ!」
…お互いの戦法を知っているからこそ為せるコンビネーション。
特に苦労する事なく、圧巻した。
そのまま、イクシオンの赤い帯で、敵達を縛る。
「ふぅ…」
「…よかったですね、見た感じ、下っ端じゃないですか?」
「あぁ、そうだな…助かった、ありがとな。」
「お気になさらず。」
衣服に付着した砂埃を叩く、イクシオン。
同時に、俺も武器を仕舞って体勢を戻す。
「それにしても…久し振りですね、ザイディン。先程は事件に巻き込まれているとの一言がありましたが…」
「あぁ、理由はまだ分からねぇが…どうやら狙われているみてぇだ。全く…厄介な事になったぜ。」
「ほう、それまたどうして。あ、そうでした、例の彼は…調子はどうです?」
「あー、いや、特に問題はなく…新しい軍を結成する上で、彼奴の能力もかなり加担してくれるだろう。あの怪力は、侮れねぇぜ…」
「それは何より。嘗て丁度この辺りで彼と知り合ったのですが、あの当時から、あの怪力には圧巻されましてね…何かと貴方とも縁があるみたいですし、彼の面倒は、頼みましたよ。」
「あぁ勿論。任せておけ。」
そう、今現在結成を計画している新しい白軍。
その中の一人に、このイクシオンと深い関わりのある奴がいる。
持ち前の怪力で巧みにハンマーを扱う奴で、その名も取ってつけたように、ハンマーという。
その彼と対話し、『ゾイロス』の名が出た時にもしやと思ったが…
共に旅をした事のある仲間だったようだ。
世間は狭い。
「さて、行きますか。」
「…あぁ。」
こうして俺とイクシオンは、共に近くの喫茶店へと足を運んだ。

「いやぁー、酷い目に遭った。」
「全く。災難続きなところは昔から変わらないんだからー…」
「いやぁ…それほどでもぉ!?」
「褒めてないって…」
治療を終え、充分な休息を挟んだ後、僕は僕達の拠点である場所に腰を据えていました。
此処は、SOS製紙工場。
もう完全に廃れたこの場所は、工場としての役目は無く…我々が隠れ家のように拠点にするのに優れた場所です。
そこで一息つき、僕ファルギアは、仲間であるリドルと笑談を交わしていました。
まだその時は、これから起こる絶望と後悔に苛まれる事など、想像に難かったのでした…

続く。

Special Thanks
登場キャラ[ゾイロス]:Xiba
FCベース、それはその昔、俺がホワイトファントムというところに所属していた時にゆかりのあった場所だ。
だが、その当時にFCベースは荒らされ、別の軍の拠点として奪われ、俺達はこれまたスアッガベースという別の場所を拠点としていたのだが…
それももう、何年も前の話…
一体、何故今更になってあんな場所で戦闘が行われているのか…
散々走り、やっとFCベースに着きそうだ。
すると…やはり、大きな戦闘音が轟いているように聞こえる。
本当に大きい。
かなり大勢の人間がいると考えられる。
ゆっくりと、FCベースに入る。
すると…見知らぬ人間が多数、一点集中で戦っているようだ。
気付かれないように、静かに歩く。
だが…
「おい!此処にももう一人いるぞ!」
「何!?」
「あれって、あの人から報告にあった、ツェーンか!?」
やっべ。気付かれた。
しかも、俺の名前を知っている、だと…?
やはり、あの連続殺人事件の犯人の…
武器を構える。しかし…
「いや、あんなのに構ってる暇はねぇ!…こっちのがヤバすぎる!
「くっ…そうだな…ぐわあぁぁぁっ!?」
此方に気付いて喋っていた一人が、大砲に撃たれて吹き飛ぶ。
あんなの…だと?
いや、実際こんな大人数を一度に相手にしているなんて…
一体どんな奴が…
大砲の攻撃の元へと歩いていく。
…すると、ズラッと巨大な大砲が幾つも並んでいるのが視認できた。
大砲は次々に弾を発射し、襲ってくる奴等を次々に退けていく。
そして、その大砲の陰に…
一人の男が、ビーチチェアのような椅子に寝そべっているのが見えた。
その横には、巨大なスパナの形の武器が立て掛けられている。
こんな大乱闘をしているというのに、途轍もなく暇そうだ。

「ん…?お前は…テンじゃねェか、久し振りだなァ…」
その男は、近付く俺を認識すると直ぐに、そう言った。
白髪にゴーグル…
…あれは…
「メルク!?」
「俺の事は様付けで呼べハゲェ!」
「!?」
急に立ち上がるメルク。
「メルクマグナムゥ!」
ドリルのように回転しながら、俺の方向へ飛ぶメルク。
しかしそれは俺の居場所を大きく外し、そのまま横の壁にぶち当たる。
「話を聞いてくれ。」
「ふははは!このメルクマグナムを交わすとは…!」
いや相変わらずお前のエイムがクソなんだよ。
…そのまま、疑問をぶつける。
「何でお前が此処にいるんだ!?…っていうか、このやかましい奴等は何なんだよ!?」
「俺達の仲間のレグを探しに来てみたら、何か襲ってきてなァ…」
「お前もよく分かってねぇのか…ってかまたストーカーな日々過ごしてんのかよ」
「まーそのうち帰ってくるだろ」
「心配しろよ」
まさかこんな所で昔の知り合いに遭遇するとは…
なんという再会だ。
「だが、此奴等が此処に来た意図…それが分からないと…」
「あー、自由にやってくれ」
「えぇぇ…」
全て投げられ、俺は仕方なく武器を構え直す。
そして、大砲の上に飛び乗り…
「いくぜっ!」
只管大量の短剣を投げる。
「ソードガトリング!」
ガトリング砲のように、100本程度の短剣を飛散させる。
その中の10本に焦点を当て、コントロール能力で自由に操る。
すると…
「うっわぁぁぁ!?」
「なんだなんだ!?」
悲鳴、狼狽える叫び声…
追い討ちをかけ、かなり善戦しているようだ。
奴等の攻撃も弱まっている。
「ちくしょー!こんな事になるなんて!」
「いや、ツェーンなんてどうでもいい!」
「あぁ、核だ!核さえ見つかれば…」
…どうでもいい?
この俺をどうでもいい、だと?
いや、核…?
最優先の目的はそっちか…
…まったく…
「核だぁ!?」
攻撃が少し落ち着き、声が通りやすくなったところで、俺は叫んで答える。
「あぁ!核だ!…此処に大量の核があるという噂を聞いたんだ!」
…ったくいつの話だよ…
「核なんて話、とうの昔に流したガセだ!…此処にはねぇよ!バーカ!」
「はぁぁぁ!?」
核があるなんて話は、それこそ俺がホワイトファントムで活動していた時期…
今更何を聞いてきたんだ…
「く、くそっ…撤退だ撤退!」
「逃げろー!」
「おととい来やがれバーカ!!!」
この地を後にする奴等に、俺は怒鳴る。
なんだってこんな場所に呼ばれなきゃいけないんだ…
「テン、何かあったん?」
「ん?…あぁ、今話題の連続殺人事件について探っていてな…どうやらそれで余計に狙われてしまっているようだ。さっきの奴等も、その犯人である首謀者の部下達だ…」
「なーるほど…」
メルクは、相変わらず寝そべりながら、俺の言葉にそう答えた。
そして、空を見上げ、一言呟く。
「大変な事になりそうだなァ…」

続く。

Special Thanks
登場キャラ[メルク]:亜九静
「此奴等…何者だ…」
容姿は様々。
武器も剣やら鎌やら銃やら…
色んなタイプがいる。
「…アラウドもいてくれたら心強かったが…仕方ない。最早此奴等が何だっていい、こうなってしまったからには、やるぞ…!」
「あぁ…!」
エイトとそう言葉を交わし、一斉に動き始める…!
俺は新規に使い始めたファインダーで、ライフルに装備されているスコープのように、標準を定め、短剣を投げる事ができる。
コントロール可能な短剣と連携させる事で、更に幅広い攻撃が可能になった。
装備に少々時間がかかるので、そこは難点であるが…
ザイディンは、鎌を自由自在に操り、浮遊する鉄の立方体を召喚する事もできる。
更には足から炎を噴射する事で空中をも飛べる。
加えて、兄のアクトから授かった、空間技も自分のものにしつつある。
かなりバリエーション豊富な戦闘が可能だ。
エイトは、両手に炎を灯して炎攻撃、加えて体術でも戦う。
炎から弾を錬成して発射させたり、炎を纏って盾にだってできる。
…他のメンバーに関しては、俺は初見だが…
メタリルは、二種類の蛇を扱って戦う。
炎を吐く蛇と水を吐く蛇だ。
レルは、杖に付属する銃と剣の両刀使い。
さっきの行動を見るに、目を閉じていても尋常じゃない聴力で視覚をサポートできるのだろう。
リモートは、多機能を持つリモコンを向けてボタンで攻撃。
リメアは、剣に加えて蜘蛛の巣のような網で戦闘のサポート。
リクエラは、巨大な手を扱いつつも、体術での戦闘も可能なようだ。
8人の戦士がいて、多種多様。
誰一人として、攻撃手段が在り来りなものだけではない。
向こうとしてはやりにくいったらありゃしないだろう。
攻撃が近づいてきては反撃して、の繰り返し。
向こうも向こうとて、決して戦闘力が低い訳でなく、ただ無鉄砲に数で圧して来た訳では無さそうだ。
しっかり一人一人が強く、それであって俺達へと果敢に挑んでくる。
一進一退のように見えるが…
此処で、俺が一人を斬る。
「!!!」
「っし!」
ガッツポーズを取る。
一方で、ザイディンも一人を斬ったようだ。
「ぐぁっ…!」
大きく血を噴き出し、退いて患部を押さえる。
「ぐっ…」
「ふっ、どうやら、俺達の方が優勢のようだな…」
そう豪語して見せる。
すると…
「…ザイディンさえ仕留めれば…」
「…何っ。」
何やら呟いたのが聞こえた。
「ザイディン…だと?」
こんな時だからか、エイトもしっかりと聞き取れたようで、その言葉に反応する。
すると、それに対して、敵の一人が言う。
「そうさ、俺達は、そこのザイディンだけが目的…ザイディンさえ仕留めれば、此方の勝ちだ!」
「なっ…!?」
驚愕を顕にするザイディン。
その間も、互いの攻防は止まない。
そこに、今度はレルが聞く。
「貴様等は…あの連続殺人事件に関係があるのか!?」
「ご名答…俺達は、ザイディンを倒す命を受け、この場にやってきた。」
「何だと…!?」
命を受けた、って事は…
此奴等の裏側に、この事件や戦闘を企てる首謀者がいるのか…!?
…だがどのみち、この場では…
「ザイディンを守らねば!」
「…あぁ…!」
「了解だよ。」
「そうなるよな。」
俺の掛け声に、エイトとメタリル、そしてレルも返事をする。
リモートやリメア、リクエラも頷く。
ザイディンの周囲を重点的に、奴等からの攻撃を阻んでいく。
目的を顕にしたからか、向こうの攻撃の焦点が明らかだ。
ザイディンのスタミナだけが、みるみると削られる。
此方からも一人、また一人…と、攻撃をヒットさせて徐々に戦力を削る。
しかし…
「がっ…!」
「リモート!」
「ぐはぁっ!」
「リクエラも…!」
此方の人員も、戦力を削られる。
辛うじて、此方が優勢ではあるが…
ザイディンを庇うのに必死だ。
「ぐっ…何故、何故ザイディンを…!」
「…くっ…それはあの人の許可無しには…」
「…ちっ」
「イリフ!」
メタリルの赤い蛇が血を噴き、彼はその名を叫んだ。
互いに戦力を削られつつも、攻防は止まらない。
「ぐっ…!」
「エイト!」
与えられた傷が深かったのか、エイトも患部を押さえる。
「これくらい…!」
患部を押さえた手から、炎を出すエイト。
焼灼止血だ。
「がっ…!」
「リメアまで…!」
このままでは危ない。
…何としても奴等を退けねば…!
隙を見せ、"敢えて"掠り傷を負う。
「ぐっ…!」
「…!…この感じ…!」
流血のような赤いラインと、風変わりの瞳、赤く変化した武器を見せる。
「テン…それは…!」
「Λ覚醒か!」
ザイディンとエイトが此方を見て叫んだ。
「Red confliction swords !!!」
レーザー光線のように、無数の赤い短剣が縦横無尽に飛ぶ。

「ぐはっ!」
「ぐあぁっ…!」
「はぁ…はぁ…よしっ…!」
効果絶大だ。
だが、苦し紛れに放ったこの技。
力の消耗も激しいし、正直これ以上はしんどい。
だが…向こうも此処から更に追い討ちをかけられるほどの戦力は残っていないだろう。
「…ちっ…ここまでとは…撤退だ!」
その言葉と共に、敵の戦士達は足早に去っていく。
…万事…休す、か。
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫か皆!?」
「あぁ…このくらいなら…」
「くっ…なんとか…」
「…それにしても、一体何故ザイディンを…」
「………。」
あれっ…
「どうした、テン。」
「いや…また、さっきの…」
さっきと同じ奴がこっちを見ていたような…
だが、既にその姿は見えない。
「…また誰かがこっちを見ていたと?」
「あぁ…」
ザイディンの問いに、答える。
「クリーム色っぽい髪…一部パーマがかかっていて、編み込んでいたような…」
「…は?」
…すると、今度は間髪入れずにスマホが震える。
「…うん?…エレク?」
…見ると、相手は幼い頃から居候してきた幼馴染、エレクだった。
「…もしもし、どうした?…いきなり…」
『あぁ、テンか!?…今さっきたまたまある場所の近くを通ったんだけど…何やら物凄い戦闘音が聞こえてな…お前なら何か知ってるかと思って…』
「戦闘音…?…何処だ、それ…」
『FCベースだ、ほら、お前昔関わった事あるだろ?』
「は…?」

FCベース…?
何で今更…

続く。

廃墟の中を、只管歩く。

「今日、アラウドは来なかったんだね。」

「あぁ、忙しいみたいでな。都合がつかなかったんだ。」

「そっか…ボクも久し振りに会ってみたかったんだけどな…」

メタリルとエイトが話す。

「それで、例の連続殺人事件とあの惨劇、何か関係があるのか?」

レルが問う。

それに、またエイトが答えて言う。

「いや、分からない…ただ、時期がほぼ合致しているのがただ気になってな…何か手がかりでも無いかなと。」

「そうか、なるほどな。…正直、あの当時の人間はそれほど集められなくてな…ライアートは首謀者だから勿論、幹部だったレイやリバースも何やら手続きとかで忙しいとか何とか…」

「そうか…手続きって…何だ?」

「さぁ…軍を作るとか言ってたような…」

「軍を…作る?」

…知らない面々だな…

俺には全く話が分からない。

「お、そろそろ着きそうだ。」

「おっ、漸くか…」

話している間に、目的の部屋が近づいていたみたいだ。

明るい暖色の光が見える。

「待たせたね。連れてきたよ。」

メタリルが言った。

すると、そこにいた黒髪の男3人が、此方を見る。

焚き火を囲んで椅子に座っている。

「おっ、やっと来たな。」

「どうも。」

「エイトじゃーねぇか。ひーっさしぶりだな。」

一斉に声を発した。

「おう、久し振り!…あ、紹介するぜ。こっちのアホ毛が目立つのがリモート、んで左右の髪が長いのがリメア、そしてスカーフをしてるのが、リクエラだ。」

「ほう…」

「ささ、座って座って!」

メタリルが椅子へ案内する。

 

「うぅ…さっむぅ…」
凍えるメタリル。
「いやぁこんな廃墟で真冬なのに暖房も無いからなぁ…仕方ない。
「んむ…へっくしゅん!」
比較的クールで落ち着いていそうなリメアも、寒さには抗えず嚔をする。
幾ら平然とした佇まいでも、身体は正直だ。
「そーれにしても、エイト達は平気そうだな。」
「まぁな。」
リクエラの問いにエイトが答えると、彼は左手を前に向けて人差し指を立てる。
すると、その指先から小さい炎が出た。
エイトはそれを見せてキリッと口角を上げる。
「あっ…此奴…炎使えるんだった…」
「それを言うならお前、メタリルも蛇が吐く炎があるじゃねぇか。
レルが思い出したように言う。
「いやぁ…この時期だとね、彼等は温かい場所で管理しておかないと弱っちゃって…今はケージの中に篭ってもらってるんだよ。まぁ出そうと思えばすぐ出せるけど…」
「…なかなか世話が焼けるな…」
蛇を戦闘に使っているのか…
なかなか躾が大変そうだ…
まぁ、俺もそれほど寒さに強い訳ではなく、焚き火もなく長時間もこんな場所にいたら凍え死んでしまいそうだ
横にいるザイディンは寒いのには抵抗が無いらしく、平気そうだが…
「それじゃぁ、当時の団体の構成員であった皆について、聞いてみようか。」
エイトが言った。
そこに、レルが答える。
「あぁ、先ずは首謀者だったライアート。言うまでもなく、奴は授かった能力を使って人を操り、アラウドを仲間にする計画に失敗。そのまま刑務所入りだ。」
「…あれは本当に辛い惨劇だった…」
エイトがそう続ける。
そこに、俺は問う。
「授かった能力って何だ?」
「『まずかった暴力』?」
「…は?」
あぁ、そうだ。
エイト…此奴、聞き間違いが酷いんだった。
「授かった能力、だ!」
「あ、あぁ…どうやら、この世界を手にしようとする者に手を貸していたようだ。奴は、上の人間から能力を授かり、能力を使ってその陰謀の一員としてアラウドを引き入れようとしていたらしい。能力の内容は、主に人を操り、強制的に仲間を増やす。それと同時に、操った対象の人間にドーピング効果も付加する。その時、外面の変化として、眼が赤くなる。自身の覚醒というおまけもつくが、人を操ると同時に使う事はできないようだ。また、それを使うと前述と同様、眼が赤く変化する。更には、一度操られた人間には後遺症が一生付き纏い…赤眼になると同時にドーピング効果を得られるという能力が残るが、乱暴に使うとオーバーヒートするといった弊害もある。かなり厄介だ。」
「そ、そんな面倒な能力が…」
「あぁ、そのオーバーヒートによって、当時の仲間だったハクアは命を落とした。」
「ハクア…」
メタリルが、呟いた。
「その、ハクアを追い詰めたのが、同じく当時お前達の仲間だった、アクト、だったな…アクトに抗うため、能力を使って激しく戦った末に、ハクアは、ボンッ…彼はアクトによって殺されたと言っても過言ではない。」
「おい、リモート…」
「…うん?」
言葉を選ばないリモートに、俺は苦言を呈して言う。
「ザイディン、彼奴、アクトの実弟だから…」
「えっ、あっ…」
「えっそうなの!?」
横から聞いていたエイトが驚いて大きく叫んだ。
…此奴め…。
「…ま、まぁ、そんなハクアも元々は敵の団体の一人で…途中で正気を取り戻して脱退したそうだ…そんな彼の代わりに、リバースが加入したと聞く。」
「その通りだエイト。新規加入した奴と言えば、リバースともう一人。当時の団体の一人、エクトリアが亡くなった直後に加入したという、新入りも新入り、ルダがいたな。」
リメアがそう返した。
「あぁ、そーうだ。彼の実力も分からずのまま、取ーり敢えず俺達と同じ下っ端に加入になったが…加入直後にあの惨劇があり、結局のところ彼の実力は分からないまま…」
「そうだったな、リクエラ。だが、彼の実力が掴めるかもしれない情報が一つあるんだ。知ってるか?
レルがそう言った。
「…一体、なーんだ?」
「ルダ、彼はあのハクアの弟子だったらしいぜ。」
「なっ…!?」
リクエラをはじめとして、リモートやリメアも驚く。
それはエイトもだ。
エイトはそのままレルに言う。
「あのハクアの…!?…奴はレイやリバースにも匹敵する程の戦闘力の持ち主…という事はきっと、ルダにもそれ相応の力が…」
「あぁ、可能性は充分にある。」
よく分からないがかなり衝撃の事実のようだ。
「…あと、今此処にいない構成員といえばあと一人…」
メタリルの呟きに、エイトが返す。
「あー。ズィーベンか。奴は今、レストランでバイト中だ。」
ズィーベン…相変わらずだな。
奴は変装がとても得意で、一人なりすます事ができる。
その上、相手の武器をコピーして使用できるという、えげつない能力も持っている。
あとは語尾に「ぜ」がつくのが特徴だ。
奴はバイト先のレストランが好きなのか、常日頃そこで働いては食事もしているようだ。
…まぁ過労バカに関しては、俺の部活友達であるラギンの方が極めて頭おかしいがな…
するとそこに。
「!?」
「なんだなんだ!?」
爆発音。
俺達が入ってきた方から、轟いている。
遠くから、ドタドタと忙しない足音も聞こえるような…
すると、徐にメタリルはケージを開けて叫ぶ。
「リトー!」
そこにいた2匹の蛇のうち、青い方が呼ばれて水を吐く。
囲んでいた焚き火が煙を上げて消えた。
今度は、レルが呟く。
「…そろそろ足音が近い、約100mといったところか…数は…10人ほどか…」
何だ此奴、聴力がめちゃめちゃ良いのか…?
「構えろ、皆!」
エイトが叫んだ。
そして…
レルが叫ぶ。
「来る!」
リモートが武器のリモコンを向ける。
部屋の入口が爆破される。
爆風が視界を奪う。
「くっ…」
「一体、何だ…!?」
ザイディンの首元に刃物が近づく。
「ちっ」
舌打ちをしたザイディンは、武器の鎌を振りつつ、続けて鉄の立方体を召喚して攻撃を阻む。
屈んで、足を横に滑らせ回避する。
そんな俺達を囲うよう、10人ほどの戦士が立つ。
「何だ、此奴等…」
俺は片眼にファインダーを装着し、剣を構える。
他も全員、戦闘態勢だ。
「分からない…だが、やるしかないようだな…!」
エイトが両手に炎を灯し、叫んだ。
「とにかく此処は…」
「ボク達が手伝ってあげる。」
レルとメタリルが構えて言った。
「ふっ…」
笑い、俺は剣を強く握る。

 

続く。

「ふっ、まさかこんなところで会えるとはな…ツェーン。」
「あぁ。相変わらず元気そうだな。エイト。こっちが、俺の長い付き合いの仲間、ザイディンだ。」
「初めまして、宜しく。」
「あぁ、宜しく、俺がエイトだ!」
こうして、俺とザイディンは、エイトと合流した。
「もう1人来るはずだった奴は、色々あってな…怪我の治療にあたっている。」
「そ、そうだったのか…」
ファルギアは思っていたよりも怪我が酷く、俺達との同行をする前に、怪我を治す事にした。
…まさかバイクに引き摺られて来るとはな…
「そっちこそ、アラウドは連れて来なかったのか?」
「あぁ、何やら忙しいみたいでな…報道されまくってたのもあって、何かと標的になりやすいから来ない方が良いだろう、って本人が言ってたしな…」
「そうか…」
成長したアラウド、もう一度会ってみたかったものだったが…
「半年前の事件の時に知り合ったミントも、予定があって来られなかったと…」
「あー、あの賢そうな女子か…いたら力になれそうだったが、まぁ仕方ないな。」
「まぁあんなのいなくても…俺がいれば大丈夫だし…」
「お、おう」
自信満々だな…
「なぁ、エイト。聞いておきたいんだが…」
「ん?何だ?」
唐突に、ザイディンがエイトに話しかける。
「お前もしかして、ギルト先生の息子さん…か?」
「えっ、親父を知っているのか!?」
「ふっ、やはりな…」
ザイディンは、目を閉じて微笑む。
えっ、何?…そこ、そんな繋がりがあるん?
「俺の中学時代、とてもお世話になった先生だ。まさかこんなところで会えるとはな…これも何かの縁だ。これからも宜しく頼むぜ。」
「そうだったのか…親父に宜しく言っておくぜ。」
「あぁ…」
…凄い縁だな…
世間は狭いな…。

「それで、エイト。話はつけてあるのか?…あの場所で、合流だろ?」
「あぁ勿論。あの時の向こうの団体の事情をよく知っている奴等だ。さて、『古の廃墟』へ向かうぞ…!」
「ふっ、あぁ…。」
半年前の惨劇の時に決戦の場所として使われた、あの場所だ。
俺は戦闘が終わった後に訪れただけだったが…
その場所で、当時の敵だった奴等と待ち合わせしているみたいだ。
俺達は、エイトに導かれるがままに、歩を進める。
 
「久し振りだな…!」
「ふっ…あぁ…」
エイトの声に答えたのは、目を閉じて杖をついた男。
そして、モノクルをかけた男も出迎える。
「レル、それにメタリル…!」
エイトが、2人の名を呼ぶ。
すると、メタリルと呼ばれた、モノクルをかけた男が口を開く。
「よく来たね、さぁ、中に入ってくれ。」
「あぁ…!」
…建物の中を眺めると、まるで迷宮のように入り組んでいるように見える。
そういえばそんな場所だったっけな…
開けた場所までは、かなり歩いた記憶がある…
「…うん?」
「どうした?テン。」
ザイディンが問う。
「…今、向こうの物陰から誰かが此方を眺めていたような…」
「えっ…一体誰が…」
「さぁ…一瞬でよく見えなかった…」
「………。」
確かに誰かが此方を…
クリーム色っぽい髪に、眼の辺りは隠れて見えなかったような…
…まぁ、いいや。
「入るぞ、ツェーン。」
「…あぁ。」

 
続く。

2025年になりました。

逍遥メモリー更新進捗ダメでした、すみません…

創作は計画的にやろう。

今年も宜しくお願いします。


















続く。←

ここは、横に長く伸びるビル、トーソービル。
ここでは、様々な施設が揃っており、所属する軍総出で活動の拠点として借りた事もある、俺達にはお馴染みの場所だ。
その上層階の方に、俺は今でも部屋を1室借りている。
そこで待ち合わせしていたのが…
「テン!」
「おうザイディン!…久し振りだな…!」
長年の仲間、ザイディンだ。
例の連続殺人事件の事で、彼と連絡を取って合流、及び情報共有といったところだ。
「てかこの間までお前…関西の方に行っていたんじゃなかったっけか?」
「そうそう!よく覚えていたな…京都に行っててな…まぁそん時の写真、今現像してるところだから今度持ってきて見せてやるぜ!」
「いや…何でわざわざ現像…別に見せなくても…」
「いやいや、是非見てくれ!」
「あ、あぁ…」
先日、一人旅行に行ってきたばかりだ。
本来の目的は果たせなかったが…羽根を伸ばして充分に楽しんできた旅だった。
そんな様子を、今度彼にも見せてやろう。
「…それで?…アレだろ?此処に呼んだ訳って…」
「あぁ、勿論。」
息を呑み、本題に入る。
「例の連続殺人事件について、お前も追っているって聞いたからな…」
「あぁ…フィートさんから聞いたぜ。襲われた時、直ぐにお前達が駆けつけたって事もな…」
「たまたまそん時、『冀望の草原』でディザスターと会っていたんだ。それでフィートタワーでの爆発にすぐ気付けて…」
「なるほど、そうだったのか…にしても、既に5人の被害者が出ており、相手はきっとかなりの強者だぞ…昨日急いでこっちまで来て、警視庁やエピック病院に行ったところだったから…いつもの武器しか持ってきてなくてな…より使えそうな武器を、早めに佩いておきたいと思って、運び屋に任せてあるんだが…」
そうそう、彼、ザイディンは趣味も兼ねて武器屋を営業しているんだった。
そこから武器を運んでくれるのだろう。
…それにしても、ザイディンの表情は何故か不安げだ。
すると、その時だった。
微かに爆発音のような地響きが轟く。

「…!?」
トーソービルも若干揺れている。
きっとすぐ近く…この建物の入口…?
「爆発…!?…とにかく、行ってみよう!」
「あ、あぁ…」
ザイディンを連れて、走る。

トーソービルの1階。
エレベーターを降りて、入口へ向かう。
自動ドアを抜け、外に出る。
すると…
「…あん?」
バイクが一台…とゴーグルを頭にかけた人間が一人、煙を上げて倒れている。
…と思うと、その人間は傷だらけの身体を起こして、元気そうに此方へ向かってくる。
「お待たせ。」
「………。」
ザイディンに向かって何か言っているが、当の彼は呆れ顔を向けている。
「…ザイディン、もしかして…」
「あぁ、例の運び屋、ラウレスだ。」
「…えぇぇ…」
…酷い様だ。
普通に事故っているが。
さっきの爆発音はこれ…
ザイディンが不安げな表情をしていたのは、そういう事だったのか…
すると、ザイディンが口を開く。
「…此奴、事故は日常茶飯事、だがこう見えて配達だけはしっかりとこなしてくれる。だから…」
「いやぁ、申し訳ないんだが…今回頼まれた武器は到着と同時に粉々に…」
「解雇だ!!!」
ザイディンが柄にもなく、大声を出す。
…何しに来たんこの人。

「…ん?」
よく見ると、倒れたバイクに何か引っかかっている。
「何だぁこれは…」
それをよく見ると…
「げぇっ!?…テメェは…」
「ファルギア…!?」
「…よく…覚えて…ま…グハッ…」
「と、とにかくバイクから引き摺り離して部屋にぶち込むぞ!」

…トーソービル内、俺の自室に戻る。
「…ってな訳で。」
「…散々だった…」
「ふっ、まさか貴方達とコンタクトを取ろうとしたら、あの運び屋に引っ掛けられるとは…参りました。」
ドヤ顔を見せるファルギアだが、傷だらけで全く恰好がつかない。
相変わらずだ。
…にしても…
「やはり、お前もあの事件の解明に向けて、動いていた、って訳か…」
「えぇ…」
この場の3人、全員がキリッと口角を上げて見せる。
そして、各々、情報共有を始めた…

「ふーむ…既に10~8を示す図形も残っていたとはな…」
ザイディンがそう言って悩む。
「あぁ…しかもそこは、被害者が出た場所ではない。尚更、関連性が分からないんだ。」
「…若しくは、既にそこで亡くなっている人間を、カウントダウンに当てはめている…なんて事は…」
「…場所が警察と病院だし…有り得ない事もない…よな。」
ファルギアの考察に、俺は返す。
「それに、ステルスが見つけた、警察に残っていた8の図形だけ丸が塗り潰されていたのも気になります。」
「えっ、塗り潰されていたのはアレだけだったのか!?」
「えぇ。貴方が図形を見つけたすぐ後に警視庁で話を聞いたのですが、そうだったと言っていました。」
「…ますます謎だな…」
「それに、各現場の戦闘痕の共通点…『痕同士に距離が空きすぎている』というのと、被害者の共通点も、まだ分からないまま…」
「…あぁ、そう、だな…」
ザイディンは相変わらず悩み込む。

…すると。
「…おっ」
俺の持つスマホが震え出す。
「どうした?電話か?」
「あぁ、とても頼りになる仲間からな!」
そう言い、電話に出る。
そう、予め、とある仲間に協力をお願いしていたのだ。
「もしもし?…うんうん…」
話し込む俺。
そして、怪訝な表情を見せる、ザイディンとファルギア。
「…なるほどな…分かった。今から例の場所に、一緒に向かおう!」
そう返し、電話を切る。
やはり、頼りになる奴等だ。
「…どうした?…誰だ?…その仲間ってのは…」
「あぁ、俺と同じ、数字を名前に持つ者…名を、エイト・フレイム。難関大学に通う、超秀才の理系大学生で、推理力も長ける逸材だ。奴にとっては、こういった事件の解決もお手の物だ。」
「ほう…何処か聞き覚えがあるような…」
「あぁ、一昔前に共に戦った、ギル・フレイムの実の弟だ。きっとその繋がりだろう。」
「ギル・フレイム…なるほど、そういう事か…」
「…?」
…どうやら、ザイディンの中で何か合点がいったようだが…
「それで、要件は?」
「あぁ、彼の親友、アラウド・フェンスにも意見を聞いたらしい。」
「あぁ、アラウド。その名はよく知っている。」
「えぇ、僕もその名は報道でよく耳にしましたよ。…アクト・エクストの悪事を止めた英雄だと…」
「…兄貴…」
ファルギアめ。
アクトの名をここで出すなんて。
不謹慎にも程がある。
「…続けるぞ。」
「えぇ。」
「そのアラウドが言うには、『事件の起き始めた時期を考慮すると、俺達の関わった事件とほぼ合致している。その時の事件に関わった人達にも、話を聞いてみるのはどうだ?』…と。」
「…突飛な考えではあるが、兎にも角にも情報が欲しい今、藁にもすがる思いだ。一理あるだろう。」
「えぇ。そうですね。」
2人も乗ってくれた。
早速、行動に移そう。
「よし、それじゃぁ早速、向かうとするか。」
俺は、すっと立ち上がる。

続く。

Special Thanks
登場キャラ[ラウレス]:亜九静
「フィートさん…大丈夫なのか…!?」
「分からない…行こう…!」
息も絶え絶え、ディザスターの問いに答える。
爆発は終わっているようだが、煙が絶えない。
まだこの基地はフィートさんが権利を持っているが、近々…というかこれから何年かのうちに、新たなボスに受け渡し、新しい構成員を組む予定だ。
だというのに、こんな瀬戸際でこの基地が狙われては…。
基地に入り、エレベーターへと直行する。
そして、真っ先に最上階を目指す。
「…これもまた、あの事件の犯人によるものか…?」
「…だとしたら…?」
「…フィートさんの安否確認が最優先だ…行こう。」
目的の階に到着した事を知らせる音が鳴る。
扉が、開く。
「うっ…!?」
「煙が…っ!?」
黒煙が、視界の一部を奪う。
その先に…
「誰だっ!?」
「その声…フィートさん!」
「テン!」
よかった、しっかりとした応答が聞こえる。
此方の声も届いているようだ。
…しかし。
「うわっ!?…大丈夫ですか!?」
「…ぐっ…何とか…な…」
身体の節々に打撲痕、そして流血。
見ると、片膝をつき立ち上がろうとしているが、直立は困難を極めているようだ。

「フィートさん、一体何が…」
「おぉ、ディザスターもいたのか…いや、突然爆発音が耳を劈き、同時に建物が揺れたと思ったら…直後に背後から強く殴られて…」
「顔は…」
「いや、一瞬すぎて、視認できなかった…」
「そうですか…」
フィートさんの力を以てしても、相手を確認できなかったのか…
「とにかく、急いで搬送を…!」
そう言い、フィートさんの身体を、急いでディザスターと2人で支える。
すると…
「うん?」
フィートさんのいた足元に、何かが見えた。
間違いない…これは…
「太陽の図形…!?」
かなり抜けている部分はあるが、丸の周りに放射状に線が3本…
今までの連続殺人事件の現場にも残されていた、太陽の図形。
それは、丸の周りにある線の数が、段々と減っているようだった。
つまり、これまでの経緯から考えて、これは間違いなく、例の太陽の図形と見て間違いがない。
という事は、連続殺人事件の犯人と同一犯…
その可能性が高いだろう。
そう考えていた矢先…
「うん…?」
「この音は…」
パトカーの音…
通報を聞きつけ、警察がやってきたのだろう…
何とも早いお出ましだ。
すると、徐にエレベーターが動き出し、軈て1階から人を乗せて戻ってくる。
扉が開いて、走って此方に来た警察の人達…
その中に…
「フィートさん!…それに、そこにいるのは、テンとディザスターか!?」
あのうるさい顔は…
「ハンター!?」
4年前、共に戦った仲間のうちの一人。
サングラスからしばしば垣間見えるドヤ顔が特徴の…
奴の名前は、ハンターだ。
「久し振りだなぁテン。捜査一課警部になった、ハンターだぜ?」
「は!?…警察の…警部!?」
うっそだろ!?
あんなうるさい顔の奴が警部なんて…
えぇぇ………
此方の驚愕には目も呉れず、ハンターは相も変わらずのドヤ顔を見せる。
まさかの再会だ…


…事件の事を調べていた矢先。
俺達のボス、フィートさんが襲われた、という情報を仲間から聞きつけ、俺は警視庁で知り合いの警部から話を聞いていた。
その帰り。
俺はその足でフィートさんの顔を見に、向かったのだった。
「ご無事で、何よりです。」
「あぁ、この通りだ、ザイディン。歩行以外に障害は無い。だが、歩くのにはまだ暫く困難を極める。リハビリは必須だろうな…」
「そう、ですか…」
「いやぁ、俺の戦友だったキリアの教え子、アクトの実弟であるお前が、心配になってこうして来てくれるなんて…嬉しくて涙が出るぜ。」
…安堵感もあるが、いたたまれない気持ちにもなる。
二足歩行を常日頃行っている人間にとって、歩行に障害があるのは、非常につらい。
「それにしても、たまたま近くにいたっていう、テンやディザスターが直ぐに駆けつけてくれてよかった。どうやら、テンもこの事件の事について嗅ぎ回っているみたいでな…」
「えっ、テンが…!?」
彼奴が………。

フィートさんが襲われた事件から少し経ち、落ち着いたところで、俺は警視庁へと向かったのだ。
あのドヤ顔警部から、今迄の事件の顛末について、詳細を聞き出そうという魂胆だ。
ある程度は報道から情報を得ていたが、この事件の謎を解くのには、情報が足りなさすぎる。
だから、俺は一昔前に仲間だったというツテを使って、情報を得ようと考えた。
警視庁の一室で、ハンターを待つ。
すると、漸く扉が開いた。
「お待たせ。」
「………。」
人を待たせたくせにキメ顔だ。
「…ハンター、例の事件について…」
「おう、何でも聞いて来いよ。」
「やはり、今回のフィートさんが襲われた事件も、あの連続殺人事件と同一犯なのか?」
先ずは愚問といったところだろうか。
「あぁ。孰れの被害者も、打撲痕を負っているという共通点もあり、何より決定的なのが、太陽の図形。形や大きさがあまりにも酷似しすぎていて、模倣犯である事も考えにくい。」
「…なるほど。」
かなり説得力のある、物的証拠だ。
「あと気になるのが、現場に残されていた戦闘痕。どれも、ただの戦闘痕にしては、あまりにも痕同士に距離が空きすぎているんだ。」
「『痕同士に距離が空きすぎている』…?」
「あぁそうだ。一箇所、血痕や打撲痕が密集している部分があったかと思えば、その周囲は何もなく、かと思えば離れた距離に同じように血痕や打撲痕が密集している箇所が複数…奇妙じゃないか?」
「…確かに。」
どの現場にもそんな特徴が残されていては、あまりにも違和感を感じる。
だがしかし、それが本当に事件の謎を解く鍵になるのだろうか。
「…それはそうとして、他の被害者と、太陽の図形に関しては…?」
「今年の秋頃に、3人が殺され…それぞれ、太陽の周りの線の数は、7,6,5…」
「…徐々に数が減っているな…カウントダウンか?」
「それが妥当だろうな。」
その3人の被害者が7,6,5で、フィートさんが3…。
「もしかして、イグラスは4か?」
「ご名答。それで今回のフィートさんが3だから、1つずつ減っているんだ。こんなにも被害が出てるのに…謎は解けないままか…」
一体何のカウントダウンなんだ…?
「そうそう、エピック病院にも、太陽の図形が2つ、残されていたのを知っているか?」
「えっ、そうなのか…?」
「やはり知らなかったか…線の数は、10と9…」
「10と9…?」
…8が抜けているな…。
「これまでの現場と違って、エピック病院には勿論戦った形跡なんて無いから、一体どんなメッセージがあるんだか…」
「…謎、だな…」
…これだけの情報では…まだ、何も分からない…
現時点では、そんなものか…
「…どのみち、まだカウントダウンは残っている。くれぐれも、次の被害者を出さないようにしたい…」
「あぁ…」
「それと、自分自身の身にも、注意してくれよ…」
「あぁ、勿論。」
会話が終わり、帰る準備を始める。
「また何か聞きたい事でもあったら、気軽に連絡してくれ。」
「おう、ありがとな。」
キメ顔を向けるハンターに、軽く礼を言い、立ち上がる。
「…あ、そうだ。」
「うん?」
「さっき、お前と同じく、この事件の概要を聞きに、ザイディンが来ていたぜ?」
「なっ…ザイディン!?」
「あぁ。」
ザイディン…彼奴が…
7年前に知り合い、それ以降は仲間として長い付き合いだ。
沢山の仲間の中でも特に親密で、常に兄のアクトを目指して向上心を欠かなさい、かなり真面目な奴だ。
そんなアクトは、今年の夏頃に殺人に加えて、殺人未遂をも犯し、今では刑務所入りしているが…
そんな兄を、彼、ザイディンはどう思っているのだろうか…
そうそう、彼ザイディンは、その兄アクトが弟子として稽古をつけていたディヴィラルと、ライバル関係でもあったな…
ディヴィラルともよく知り合いで、顔にバツ印の形の包帯を巻いているのが特徴的だ。
「一度、連絡を取ってみてはどうだ?…人手が増えた方が、色々な考えが生まれて、その考えも纏まるだろうし…」
「あぁ、そうだな…」
帰り支度に身を纏い、最後に挨拶を交わす。
「じゃぁまた。」
「あぁ。」
警視庁の出口へと向かう。
ザイディンか…まさか彼奴も動いていたとは…
これは本当に連絡を取ってみる価値がありそうだ。
出口を出て、ふと視線を移してみる。
「…ん?」
警視庁の入口の横…
壁に何か…
「これは…」
…間違いない。太陽の図形だ。
フィートさんの時と違い、丸の部分が塗りつぶされている。
そしてその周りの線の数は…
8…!?
「…刑事さん、これ…」
「うん?」
入口すぐ近くにいた、黒い帽子をした刑事に声をかける。
頬に傷があり、これまでに百戦錬磨をくぐり抜けてきたような痕が残る。
「これは…!」
「あぁ、例の連続殺人事件に残されているものと同じものだ。…何故ここにあるのかは分からないが、ともかく、上層部に連絡した方が良さそうだぜ。」
「そうだな…ありがとう。」
そう言い、その刑事は太陽の図形を写真に収めた。
そのまま警視庁を立ち去る俺を横目に、その刑事は、ポニーテールの金髪が美しい女性の刑事と、その図形を見ながら何やら話しているようだった。
…あんなところに8を示す図形が…
どうして…
…あれっ
今すれ違った奴…
白髪に、少し黒髪が混ざっていたような…
それにあの後ろ姿、背丈…
そのまま警視庁に入っていったが…
まさか………


今現在起こっている、連続殺人事件。
それに関しての情報を聞き出そうと、僕は長い付き合いの仲間であった警部と、面会をしました。
帽子とコートに青い眼鏡。
仲間だった頃とはまた一風違った佇まい。
僕は面会を終えて退室するところでした。
「…では、今後、この事件については私ではなく、ハンター警部の方から…」
「えぇ勿論。ありがとうございました。」
お礼を言い、僕は背を向けました。
歩き出し、そのまま警視庁の出口を出て、僕は帰路につきました。

続く。