先日の事、
ある料理人の人が、
自分の店について語られた。
”自分は努力して、技術と力でここまできた。
だから
お客の中に頭でずる賢く儲けて食べに来てる奴に、いつか絶対勝ってやると思って頑張ってる。”

この時点で大負けなのすら、気がついておられる様子もなく、
頭で仕事してるが、(しがない翻訳、通訳でずる賢く生きようがない)全然儲けてない私は、情けない気持ちで、熱弁を聞きながら、コンプレックスの恐ろしさにヒシヒシ刺されつつ、その場を後にした。
”お前には負けへん”
なんて、思われながらレストランでお金出して、誰が食べたいんだろう、、、
食べる側は全く、そんないやらしい挑み心を含んだ食事と知らずに食べているなんて、消化に悪い、、、
べつに頭で勝負しようが、身体を張って生きようが、一生懸命生きていれば、他人がごちゃごちゃ言う筋合いがない!!
と、息巻きかけて、ふと、
”相手は私が頭で仕事してると知ってて、発言した、
という事は、
私に二度と顔見せんな‼︎と、面と向かって言えないから、か?”
と、思いなおし、相手に申し訳なく思った。
もちろん、自分可愛さと、相手を傷つける意思もないので、関わるのはすぐにやめた。
しばらくして、学歴どころか、どこで生まれて、何をしてきて、どんな珍奇な人生を送ってきたかも知らず、年齢も100を超えてるかもしれない、怪しい人の作る最高に明るい食事を食べながら、

劣等感とは、それを持つ本人が作り上げる空想の牙城。
牙が向くのは、自分に向けてだ。
と、改めて実感した。
ラッキーにも、私は自分ひ牙を向かずに済んでいる。幸せというべきだろう。

”どや、美味しい?”
”サイコー”
”当たり前や、ワシがつくってるねんで!でも、ありがとうな、”
そんな素直な料理を出してくれる、得体の知れない料理人は、頭でも、身体でも仕事してない。
あつ~い気持ちで、一生懸命楽しんで仕事してくれてる。
レストランを見るには、そこにいるお客の顔見たら、一番よくわかる。
高くても安くても、笑顔が揃う店は美味しい。
もちろん誰も牙なんかない。
だから、いつもいっぱいで、外からも底抜けに明るい空気が溢れてくるんだ、、、
夫の30年以上贔屓の名店、
どうか息子が通える位まで頑張って欲しい。
本当に一生懸命仕事しながら、過去の努力も、隠れた過去も、微塵も見せずに、ひたすら楽しそうに誰もが笑顔な仕事場を作り出す魔術師のようなプロ中のプロを見せてやりたい。

店主のあだ名はヨーダ。
きっと後数百年は、元気なはず。
いつも、楽しくて、誰も写メなんか撮らない位美味しい店も珍しい。