家族・親族には治るかいよいよ危ない時まで伝えないが、友人には早い段階で伝えようと決めていた。
私は友人は多くないが、その友人達とはみんなとても長い付き合いだ。
そして私がシングルだったせいもあり、友人たちもシングルか子供のいない既婚者ばかり。
つまり老いが進んだときに、面倒を見てくれる人がいない。
年を取ったら毎朝お互い生存確認しようなんて、わりと本気で話したりする老後を支えあう同志たちだ。

私の母方の家系は平均寿命が軽く90歳越で、長く患うこともなく天寿を全うした人たちがほとんどだった。
私は仕事柄、ずっと過酷な勤務だったにも関わらず今まで大きな病気をすることも無く、友人EやAからは「春駒ちゃんはお気楽者だから長生きするよー。」なんて言われていたし、私も友人たちに、「みんなを見送って私が最後に死ぬ時に、誰にも見送ってもらえないわー。」と本気で言っていたものだ。


なのに、なのに。
私が一番早く逝くかもしれないとは。。。チーン

友人にだけ伝えようと思った理由は、自分の病気を誰にも告げずに一人で抱えるのは精神的に無理だったこと。
そして一緒に過ごせる時間は家族や親族よりも短いだろうから、元気なうちにたくさん会って旅行もしたかったこと。
あとは、もしもの時のために、友人には覚悟をしておいて欲しかったこと。
今から考えるとどれも自分勝手な理由ではあったのだが、その時はこれが真剣に考えた最善案だったのだ。

特に友人AとIにはどう告げようかと、散々悩んだ。考えすぎて禿げるかと思ったくらいだ。
友人Aとは海外で数カ月間だが一緒に暮らしていた事もあり、今もよく遊んだり旅行をしたりしている。
そんな友人Aは数年前に親友を癌で亡くしていた。
そして友人Iもお母さんを私と同じ肺がんで亡くしていた。
なのに私がまた同じ病気で先に逝ってしまったら、どれ程ショックだろう。。。悲しい

それを思うと、伝え方を本当に悩んだ。

あと、みんなに伝える時は、直接会って話すようにした。
電話で伝える内容ではなかったし、私は普通に元気だったからその姿を見て安心してもらいたかったし、電話で伝えて友人をひとりで落ち込ませたくなかったから。

出来るだけショックを受けないように話す内容と切り出すタイミングもめっちゃ見計らったのだが、内容が内容だけにみんなしばらく何も言えずに黙ってしまう。
そりゃ逆の立場になれば私もそうなるだろう。
なので、

「大丈夫、私は治る気満々だから! なんなら3ヶ月くらいで治る気がしてるし!!」
と、どちらが病人かわからないかんじでめっちゃ励ましたせいか、帰る時には

「また会おうねー!」

と笑顔で言ってくれた友人を見て、少し安心したのだった。