いよいよ治療が始まります。

有休を取得して病院へ行っているのですが、会社にはいつ病気の事を報告したのか思い出せません。

この頃は混乱の中にいて、メモを残していなかった事が今になって悔やまれます。

 

 

 2023.8.7(月)

分子標的薬タグリッソの説明を受け、早速今日から薬を飲むことになった。

私の母は乳がんで手術と放射線治療を行っていたので、私もてっきり同じ治療をすると思っていたのだが、肺腺がんステージⅣが確定した時に、先生からは手術や放射線ではなく抗がん剤になると言われていた。
その頃は癌について知識があまり無かったこともあり、手術が怖かった私は少しホッとしていた。
でもその後で、「抗がん剤治療は完治を目指すものではなく、延命治療です。」とはっきり言われたのだ。
(そうか、手術や放射線治療が出来ることは完治の可能性があるけども、もう私はその段階ではないのか。私の病気はもう治らないどころか、長く生きられないのか。。。)
と、思ったのだ。

思い出しながらこれを書いている今なら(延命治療 ≠ 終末期)とわかっているのだが、その時はそれくらい延命治療と言うワードはキョーレツなインパクトがあったのだ。

確かに延命治療に間違いは無いけども、(※老人になる事を目指した延命)的な注釈を付けるとか、何かもっと良い言い方はないのだろうかと思う。

抗がん剤については以前は絶対にしたくないと思っていた治療法だった。
ネットでは抗がん剤は毒だとか、癌ではなく抗がん剤で命を落としたとか、医師が癌になった時に自分は絶対に使わないとか、海外では抗がん剤を使わなくなっている等々、とにかく抗がん剤に否定的な情報を目にしていたからだ。

そのせいで、もし自分が癌になったとしても抗がん剤は使用せず、民間療法とかで治したいなどと、癌という病が自分とは無関係な頃はそう思っていたのだ。
でもいざ癌になってしまってから調べまくった結果、民間療法だけでは癌は治せないと考えた私は、あれだけ拒否していた抗がん剤を自ら進んで使用したいと思う程、私は切羽詰まっていた。

それがそれが。
先生のお話では毎日1錠飲むだけで副作用も従来の抗がん剤に比べてとても少ない、分子標的薬を使用するという事だった。
この薬を飲みながら普通に仕事を続けている人もたくさんいるとのことで、それくらい副作用の少ない薬らしい。
本当なら物凄く喜んで良いはずなのに、それを聞いても(抗がん剤をしなくて良いんだ。)くらいにしか思わなかった。


良い事も悪い事も、あまり自分の心に響かなくなっていた。
 

その頃は自分の感情を鈍くすることで、ステージⅣという逃れようのない怖い事実から自分の心を守っていたのかもしれない。

まずは経過を見るという事で、次回の診察は1週間後の7月14日になった。