帰りの地元駅のホームから改札階へ降りるエレベーター。
とても小さなエレベーターの前には、
70台だろうご夫婦が待ってた。
ピンクの車椅子には少し派手な色使いの装いをしたおばあちゃん。
いわゆる関西のケバイ、インテリジェンスのかけらもないおばちゃんの感じではなく、
凄く可愛い、センスを感じるおばあさんだった。車椅子を押してる旦那さんだろうおじいちゃんと、なんとも仲良さそうにエレベーターを待ってた。
狭いエレベーターなので、先に行って貰おうと少し離れて立ってた。
エレベーターが来て、先に行って下さいって言うとおばあちゃんが、『なに言うてんの、乗れるからおいでって』手招きする。おじいちゃんはニコニコしながら、開くボタンを押して待ってる。
狭さが苦手だ、ストレスを感じる 。
けど私には歳上の女性に逆らう趣味はない。ヨタヨタととても狭いエレベーターに乗り込む、降りる時も先に出た(よくあるとびらがかわるやつ)おじいちゃんが開くボタンを押して私がモタモタ降りるのを待ってくれてる。
一回押せばいいんですよ、押して待ってないでいいんですよ。なんて言わない、ありがとうを連発してエレベーターを降りた。
その時気付いたのだが、おじいちゃんはニコニコしてるわけじゃなく顔に刻まれたシワだった。
このシワが刻まれるまで、どれほどの苦労があったのだろう。どれほどの苦難を何十年もお二人で乗り越えて来たのだろう。
改札を出ておじいちゃんが車椅子押しながらお二人で楽しそうに何か話ながら夜の街に消えて行った。
気が付くと私の心が軽くなってた。
病気の事、通勤電車の車内での事。
若者の心に大きな傷を負わせたどこかの指導者、奪われてしまった新潟の幼い命。この世の中にはあまりに悲しい事が多すぎる。
私も私の無事を願ってくれてるだろう
奥さんに早く無事な姿を見せる為にロータリーに急いだ。
地元の駅だったのでまたお二人をお見かけする事もあるでしょう。
その時は、また私に元気を下さい。