その後、横の席は一瞬だけ空席となった。そして、また小説を開いた。

しかし、発車直後に50代後半と思しき男性が「横、すみません。」と

丁寧に断りを入れ座られた。

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良く馴染んだスーツに身を包み、片手にはビジネスバッグを持たれていた。

きっと、これから商談かなにかあるのか、或いは既に済んだ後なのか、

雰囲気から察するに、後者なのだろう。

きっと、帰路につくために乗車されたのだと感じた。

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ふと、気づいた。

この列車は、様々な人の想いを乗せ、それぞれの目的地に誘うのだと。

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いよいよ、小説どころではなくなってきた。

そして、改めて考える。

私は今回、なぜ東京に赴くのか?

思い立ったこの先に、どんな景色を想像しているのか?

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新幹線の走行エリアは、いよいよ高崎へ。

頭の中には「コロナパニック」に陥っていた頃のことが浮かんでいた。

 

③へつづく