①の続きです。

 

【ドラマ4|C中学生のケース】

練習に参加しても、時間つぶし的な苦し紛れの練習が続いていたC中学生。

今日の練習も同様でした。

しかし、終盤になってその子が何故か兄弟の話しを聞かせてくれました。

「もう少ししたら姉ちゃんが県外に進学するから、会えなくなるんだよね。」

「兄ちゃんが県外に進学する時、お世話になった高校に挨拶に行ったのを覚えている。」

正直、練習には全く関係のない話しではあるけど、

彼がその兄弟を愛しているのが伝わってきました。

「そっか。コーチは、あなたのお姉さんが死に物狂いで練習していたのを知っているよ。」

「そんなお姉さんとのお別れは寂しいけど、きっと君のこと応援し続けていくと思う。」

「だって、そのお姉さんがこのクラブを君に紹介したんだから。」

すると、その子の目つきが変わって、小さくも力強く頷きました。

【学び】

練習の正しいやり方や見本など、オリンピックが終われば「間違い」に変わります。

だから、間違ったらどうしよう…。など怯える必要は全くありません。

大好きな家族が傾けてくれる無形の応援のほうが正しく永遠で、それを力にすべき。

この子はきっと、明日以降それを背負って闘っていくでしょう。

ご家族の支えあっての現場です。心から感謝です。

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【ドラマ5|A高校生のケース】

つい先日入ったA高校生から、

「コーチ、ここのポイント教えてください。」と依頼がありました。

恐らく、昨シーズンからずっと興味のあった事柄で、

自らの成長ポイントだと心得ているのでしょう。

なので、小学生でもできる超基本動作を伝えました。

その後、何度も粘り強くトライを続けていました。

【学び】

選手がコーチに質問する場面というのは、

(貢献欲の強い)コーチ側からすると大変嬉しいもので、

気分良くあれこれとアドバイスをしがちです。

が、オリンピック選手を引き合いに、

相手の現状と大きく外れた「理想の押し付け」になることがほとんどです。

大事なのは、家や学校でも取り組める内容(相手がイメージできる内容)を提示すること。

まして、指導者自身が難しい理論を知っていることをひけらかすなど論外。

それを改めて考えさせられた一件でした。ありがとう。

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【ドラマ6|B高校生のケース】

記録を測定してほしいと願い出たB高校生。

かれこれ1年半も「理想の感覚」から遠ざかっていると訴える彼は、

自分の可能性が下降線を辿っているのではないかと不安を抱いているようでした。

その子はスマホの録画を私に見せながら「理想の感覚」の解説をしてくれるのですが、

その表情は、どうしても突破したい一心であるように見え、私はこう言いました。

「きっとね。それが得られないのは、服装が当時と違うからだよ。」

すると、彼はキョトンとした顔で「ふ、服ですか??」と…。

【学び】

チャレンジをしている選手は、良い記録が出た時の感覚を往々に覚えています。

そして、次戦以降もその感覚に異様なほど執着し頼ろうとします。

ただ、この時に盲点となるのは、フィードバックに外的要因を含まないことです。

例えば、気象条件の違い、競技会か練習かの違い、身長や体重・体調の違い

午前か午後かなど、こういったものは容易に思い当たるのですが、

服装にまで気が及ぶ選手は多くはないように思います。

どうやら彼は、家に帰って服装要因について調べるようです。

それを知った後は、思い切りやるだけです。がんばれ!B!

 

 

画一的な練習メニューの付与を常としない当アカデミーだからか、

現場にはいつも、様々な人間模様とドラマチックな瞬間が溢れます。

生きたスポーツ。生きた現場。

これからも、もっともっと広げていきたいです!

 

みんな、アッパレ(^▽^)/