湖で逆さまになって足だけが湖面から出ているシーンや、白いマスクをした男性・スケキヨが有名な犬神家の一族。小さい時にたまたまテレビで放映されていたを見た時(おそらく昔やってたものの再放送)、あまりの怖さに泣きそうになったのを覚えています。その後しばらく犬神家の一族をミステリー小説ではなく、生粋のホラー小説だと勘違いしていたほど。
何度も映画化・ドラマ化されており、2004年版のテレビドラマでは元SMAPの稲垣吾郎さん、2018年版のテレビドラマではNEWSの加藤シゲアキさんが金田一耕助役で主演を務めています。また、2018年版ではドラマオリジナルキャラクター・多田浩二役でHey!Say!JUMPの薮宏太くんも出演しています。
・あらすじ
昭和2X年、信州のとある屋敷にて、犬神家当主である犬神佐兵衛が莫大な財産を残してこの世を去ります。佐兵衛の遺言状は、一族が全員集まってから公開される方になっておりました。
佐兵衛には3人の娘がいるのですが、みな佐兵衛が残したこの莫大な財産の行方を気にしています。
しばらくして到着が遅れていた佐清(スケキヨ)が帰ってくるのですが、彼は顔に火傷を負ったということで白いゴム製のマスクをつけています。佐清は長女・松子の長男です。
こうして犬神家の一族と、佐兵衛の恩人である野々宮大弐の娘・野々宮珠世が見守る中、遺言状が開かれます。そこには、こう書いていました
「犬神家の家宝である斧(ヨキ)・菊・琴は野々宮珠世に相続する。ただしそのためには3ヶ月以内に婚約者を佐清・佐武・佐智の中から選ばなければ(他の人と結婚したらならず、その権利を喪失する。また、野々宮珠世が何らかの理由で相続権を失った場合、財産を5等分し、5分の2は愛人である青沼菊乃の長男・青沼静馬に授ける」と。
大混乱を招く遺言状の内容が明らかになったことで、財産をめぐるドロドロの殺人事件が幕を開ける。
・感想
一族の相続争いはよく聞きますが、ここまで血に塗れた争いはなかなかない(頻繁にあったら怖い)。また、登場人物が多いので最初は誰が誰の子だったっけ?と混乱します笑。そして佐兵衛の娘たち、実はみんな母親が違うんですよね。佐兵衛は生涯を通じて正妻を取らなかったようです。だから姉妹といえどもこうして財産バトルでバチバチだし、自分の息子を珠世とくっつけようと画策します。息子たちからしても美人な珠世と結婚することに特に不満はないようです。
殺人については、佐兵衛の遺言に出てくる斧・菊・琴に見立てた方法で進んでいきます。あの湖で死んでるシーンは有名なので知ってる方も多いかと思いますが、他の殺人シーンもなかなかインパクトが強いです。私としては湖のシーンよりショックを受けた殺人方法がありますので、そちらもぜひ注目してほしいです。(ネタバレになるのでいえませんが、、、)
スケキヨですが、ただただ怖い存在だと思っていたので、読んでから印象が変わりました。あのマスク姿に騙されてる人、たくさんいるんじゃないかなぁと思います。
遺言に出てくる青沼菊乃とは、佐兵衛の愛人だった女性です。佐兵衛は三姉妹の母親が違うことから分かるように、たくさんの女性と関係を持っていましたが、青沼菊乃はその中でも特別な存在だったようです。それは菊乃の息子である青沼静馬に財産の2/5を与えろ、そのためにも何としても静馬を探すように遺言状に残してるところからも伺えます。
あの湖面から足を出してるのは誰なのか、スケキヨのマスクの下は?青沼静馬は見つかるの?
珠世は誰を選ぶのか?そしてこの惨劇の犯人は?
映像で見てみたいけど、怖い!て人も、一度小説を読んでから挑めば、ある程度「次このシーンかな」と予測ができるので怖さも和らぐかと思います。