読む人にとって「恥ずかしい青春小説」と捉えるか、「愛おしい青春小説」と捉えるか変わってきそうな作品。
・あらすじ
漫画家として活躍する佐々岡鮎子の元に、母校の同窓会を兼ねた講演会依頼が届く。確かに母校の同窓会の案内ではあるが、差出人の名前には心当たりがない。不思議に思いながらも鮎子は懐かしの地・岡山へと向かう。
岡山に降り立った鮎子は、当時のことを思い出す。東京から岡山に転校してきたため、なかなかみんなに馴染めなかった中、とあることをきっかけに仲良くなったクラスメイト・秋元武美のことを。かつての恋人・ヒデホくんのことを。
・感想
女子校特有の雰囲気が見事に描かれた作品だなと思いました。基本的には鮎子の回想という形で物語が進みます。ヒデホ君は鮎子の恋人なんですが、これがまたかっこいいんですよね。大学生バンドマンでモテるのに鮎子に対してとても一途。ただ、ヒデホ君には秘密がありました。そしてヒデホ君のことを知っていくうちに、だんだん武美もヒデホ君のことを好きになっていき、とある行動に出るのですがその行動がどう映るのかは読んだ人によって意見がめちゃくちゃ分かれると思います。
そして現在の鮎子による講演内容も、とても印象的です。あの講演は、あの青春を過ごした鮎子にしかできないと思います。
映画化もされています。