美術×ミステリーというワクワクすること間違いなしな小説。絵画の知識がなくても楽しめますし、なんなら物語を通じて芸術に関する知識が身につきます。
主人公は図像学を専門とする千景。彼女は小さい頃から絵画に秘められてる図像術を捉える力があるのですが、そのせいで両親から疎まれてしまい、画廊を経営する祖父、お菓子作りが得意な優しい祖母のもとで育ちます。
才能を活かしてイギリスで図像学を学んでいた彼女は、画廊を経営していた祖父の死をきっかけに帰国。そこで幼馴染の透磨と再会するのですが。。。
過去の辛い経験も相まって初期の千景ってすごくトゲトゲしていて周りに対して心を閉ざしてるんですよね。祖父が経営していた画廊および祖母が切り盛りするティーサロンでは、今でも芸術好きが集まってキューブというサークルがあるのですが、そこでもやはり最初はなかなか打ち解けられず。。。とりわけ透磨に対しては素直になれずにツンケンした態度になってしまいます。
そんな千景が、みんなで絵画にまつわる事件や謎を解いていくにつれて少しずつ打ち解けて成長していく姿は見ていて自然と良かったね、と親心すら生まれてしまいます笑。
現在は7巻まで出ており、そこで第一部完結となっております。ブリューゲル、ユディト、ブロンズィーノなど実在する画家の作品も出てくるのでどんな絵なのか調べながら読むのも面白いです。
また、図像学についても学べるので今後美術館に行くときに、どんな図像が使われているのか見つけるのも楽しいかもしれません。