去りゆく火 | 半脊椎-Spineless fish Side-

去りゆく火

しきみと小菊が飾られた仏壇独特の芳香に感慨もなく

幼い頃に教わった通りにマッチを擦り蝋燭に火を点ける

燐の匂いが鼻につくのを感じながらマッチ棒を空に切れば

棚引く煙が消火したことを知らせ、それをゴミ箱へ放り投げる

思い起こせばこの炎を吹き消してはいけないと大分叱られていた

そんな時期があったことに今更ながらに失笑でも浮かべてみる

何故にそのような些事まで決められているのか無宗教の俺には分からぬが

この矮小な灯火が消える音はうにくたばった魂が灼けつくようではある