今の生活に至るまで <2>
もう20年ほど前ですが、社会人1年目の時、当時40代中盤くらいの温和な先輩から研修を受けました。身バレを避けるため、詳細は避けますが、一台何千万円もする精密機械の取り扱いのプロでした。温度や湿度、その他条件に合わせ、長年の蓄積された経験と勘で微調整をする、京職人のような仕事。私が所属していた部門とは縁遠く、仕事上での関わりは少なかったのですが、先輩の穏やかな語り口から、仕事に対する情熱や誇りを感じたのを覚えています。それから10年ほどのち、その先輩が私の所属していたセクションに異動されてきました。時代が変わり、先輩がされていたアナログな仕事は、世の中的にデジタルに置き換わり、存在そのものが無くなったからです。先輩は私の所属部門の中で事務に挑戦することになりました。しかし、ずっと専門分野で活躍されてきた先輩は、事務スキルをほとんど身につけておらず、エクセルやワードが出来ない。違う課ではありましたが、先輩は一生懸命頑張っていたと思います。先輩の机の上には、エクセルワードの入門書がいくつも並んでいました。でも派遣事務の女の子たちには陰口を叩かれ、非常に居心地が悪そうで、一年後には退職をされてしまいました。つづく