RACETEC™ RR とは
METZELERは長年公道レースに参加してきましたが、2013年よりその活動をより積極的に
製品開発に生かすプロジェクト「ROAD TO LEGEND」を立ち上げました。
2014年、マン島TTレース、North West 200などの代表的な公道レースへの参戦からのフィ
ードバックを得て、プレミアムスーパースポーツタイヤ「SPORTEC™ M7 RR」を生み出
しました。
そして2015 年、METZELER は「RR」=「Road Racing」の名を冠した「RACETEC™ RR」を公道レース
に投入。マン島TT レースをはじめとした多くの公道レースで勝利しています。
2015 年8 月、公道レースに投入された「RACETEC™ RR」そのものが、ついに日本でも発売されます。


ターゲットカスタマー
RACETEC™ RRは、サーキットでコンマ1秒のラップタイム短縮を目指すレーシングライダーから、サーキット走行会に参加するライダー、ワインディングを楽しむライダーなど、スポーツマインドを持った全てのライダーのために開発されました。
プロフェッショナルライダーからサンデーレーサーまで、あらゆるレベルのレーシングライダー
レースでなくとも、サーキット走行会などでライディングを楽しむライダー
ワインディングなどでスポーティーなライディングを楽しむライダー


技術解説
「RACETEC™ RR」は全く新しいプロファイル、コンパウンド、グルーブデザインを採用しています。
公道レースは1 周の中で路面温度や路面の質が変わり、サーキットでは考えられないほど長いストレートが存在し、レースディスタンスも非常に長いという、過酷な環境で行われています。さらに、練習期間は限られ周回数もサーキットでのレースより少ないため、非常に短期間でバイクのセットアップを行い、ライダーが「アタック」できる状況を作る必要があります。
このような環境の中で、あらゆるレベルのライダーがベストなパフォーマンスを発揮するために、RACETEC™ RR」には全く新しいプロファイル、コンパウンド、グルーブデザインが採用されています。

1. 新プロファイルの採用による接地感と安定性の向上
RACETEC™ RR には全く新しいクラウン形状とサイドウォール形状が採用さ
れています(図1)。
これにより、公道レースに見られるジャンプセクションなどの極端に凹凸のあ
る路面でもショックを吸収し、安定性を高めています。
またクラウン部分の剛性を弱め、サイドウォール部分の剛性を高めることで、
接地感の向上とコーナリング時の安定性を両立しています。
こうした特性は、サーキット走行でも非常に優位に働きます。
接地感と安定性が高まることで、ライダーは走り始めから安心して走行するこ
とができ、練習走行、予選など限られた走行時間の中でより多く「タイムアタ
ック」をすることができます。

2. 新コンパウンドの採用による適応温度域の拡大と様々な路面への対応
公道レースでは、路面温度や路面の質が刻々と変化します。
例えば路面温度が30℃から15℃に急激に下がったり、サーキットのようなグリップの高いアスファルトから突然コンクリート質のグリップの低い路面に変わったりといった状況でも、レーシングスピードをキープするために常に高いグリップを発揮することが求められます。
そこで、METZELERは新しいカーボンブラック、低温時のコンパウンドの柔軟性を保つ新ポリマー、高温時のタイヤの硬化を防ぐ新レジンなどを採用し、全く新しいコンパウンドを生み出しました。これにより、RACETEC™ RRは幅広い温度域、様々な路面状況でグリップを発揮します。
K1コンパウンドは従来製品(RACETEC INTERACT)より低い路面温度、荒れた路面に適応し、K2コンパウンドは従来製品より高い路面温度、スムーズな路面に適応します。これにより、K1、K2コンパウンドともに、非常に幅広い温度域、路面状況に対応します(”RACETEC INTERACT”との比較、図2)。
またK3コンパウンドは、純正タイヤに求められるような更に幅広い温度域、路面状況に対応します。
これにより、サーキットを転戦するような場合でもコンパウンド選びに迷うことがなく、
セッティング時間を短縮することが可能になりました。

3. “Cap and Base”レイアウトによるウォームアップ性能の向上
公道レースにおいては、時速300kmで20秒以上走行し、直後に深いバンク角でコーナリングするような、サーキットでは考えられないセクションが存在します。
このような状況では、タイヤのセンター部分のみが温まり、走行風などによりショルダー部分は冷え、ストレートエンドからコーナリングする際に、ショルダー部分のコンパウンドがグリップを発揮する温度に達していないことが考えられます。
このようなリスクを避けるため、RACETEC™ RRには”Cap and Base”レイアウト(図3)が採用され、ストレート走行時に温まるタイヤセンター部分の熱が、コンパウンドの土台の部分からショルダーに伝わり、ショルダー部分が冷えるのを防ぐと同時に、センター部分のオーバーヒートも防ぎます。
これにより、長いストレートの後もライダーは安心してコーナリングすることができます。
また、タイヤ全体のウォームアップが早くなることで、サーキット走行においても早いラップからアタックを開始することが可能になりました。

4. 新コンパウンドとグルーブデザインによる耐摩耗性と性能持続性能向上
公道レースでは、レースディスタンスが非常に長く、サーキットでのレースの2倍から3倍にあたる240kmもの走行距離になることも珍しくありません。
そのため、耐摩耗性と性能持続性がレースの勝敗を分けるキーになります。
RACETEC™ RRは新しいコンパウンドとグルーブデザインの採用により、耐摩耗性と性能持続性の向上を実現しています。
METZELERは独自のミキシング技術により素材を均一に混ぜ合わせ、耐摩耗性と性能持続性に優れたコンパウンドを生み出します。
また、ゴムに強いストレスがかかるとき、“シャラマッハ波”と呼ばれる現象が起こり、偏摩耗の原因となります。
RACETEC™ RRのグルーブデザインは、この“シャラマッハ波”を分断するように配置され、コンパウンドにかかるストレスを軽減し、均一な摩耗を実現しています(図4)。
これにより、サーキットにおいてもより多く「タイムアタック」することが可能になりました。

まとめ
RACETEC™ RRは、サーキットでコンマ1秒のラップタイム短縮を目指すレーシングライダーから、サーキット走行会に参加するライダー、ワインディングを楽しむライダーなど、スポーツマインドを持った全てのライダーのために開発されました。
そのために公道レースを開発の場として選び、接地感と安定性の向上、様々な路面状況への対応、ウォームアップ性能の向上、耐摩耗性と性能持続性の向上など多くの点で飛躍的な進化を遂げました。
その結果、サーキット走行においても、「セッティング時間の短縮」、接地感、安定性、ウォームアップ性能の向上による「早い段階からのタイムアタックの開始」、耐摩耗性、性能持続性の向上による「より多くのタイムアタック」など、多くのメリットが生まれました。
つまり、RACETEC™ RRは、公道、サーキット問わず、あらゆる場面でそのレーシングパフォーマンスをいかんなく発揮する、新次元のレーシングタイヤなのです。
1. 新プロファイルの採用による接地感と安定性の向上
2. 新コンパウンドの採用による適応温度域の拡大と様々な路面への対応
3. “Cap and Base”レイアウトによるウォームアップ性能の向上
4. 新コンパウンドとグルーブデザインによる耐摩耗性と性能持続性能の向上

http://speedstar.jp/products/detail.php?product_id=695