昨日は朝から台風が近づくってんで心配してた。

さやかはリモートワークがあるんで、

「停電になったらどうしよう」

って言った。

そこでおいらが言った。

「ふふん。父ちゃんに任せろ」

備えあれば憂いなし。

「ポータブル電源が二つあるからWI-FIもパソコン充電も何の心配もないのだ」

するとさやかがうれしそうに言った。

「さすがお父ちゃん。ルックスも知性も完璧だけど、こういうとき頼りになるね~」

(セリフに少しだけフィクションが混じってます)

結局使うことはなかったが、やっぱり電源があれば安心感が違うな、と思った。

なんせ、仮に停電しても普通にテレビが見られるしスマホは充電もできて普通に使えるし。

 

風が強くなったのは午前10時を過ぎてからだ。

いかにも台風という風だ。雨が真横に流れていく。

そのとき奥さんが言った。

「ちょっと市役所に行ってくる」

「なんでやねん!こんな強風なのに」

「どうしても今日行く用事があるの」

と出かけた。

 

なんとか無事帰ってきたけどずぶぬれになってた。

「なんでそうなった?」

「実は」

と話したのが以下のことだ。

「道ばたを一人おじいさんが歩いていて、風も強くてふらふらしててずぶ濡れで」

だから見かねて車を止めて外に出て、

「送って行きますよ」

と言ったそうな。

「ありがとうございます」

車の中で話してみると、2km先のスーパーに歩いて買い物に行こうとしたけど、風が強すぎてあきらめて帰るところだったそうな。

どうもテレビなどの情報は全く見ていなかったらしい。

信じられないじいさんもいたもんだ。

あとで見ると、車の中はシートのところがびしょびしょになっていた。

しかしこういうところで声をかけるのが奥さんのいいところなのだろう。

 

昼ぐらいに風が弱くなった。

西の空を見てみると、ちょうど雲が薄く明るくなっているところがあったので、どうやら台風の目が近くを通っていたらしい。

その後はまた吹き返しがあったものの、たいした強風でもなく、そのまま1日が過ぎていった。

たいした被害がなくてよかった。