2018年秋の情報処理技術者試験を受験できたことに感謝しかない。
遡れば9/27の朝起きた時から、右肩と右の肩甲骨が痛み、その翌日、翌々日とさらに痛みが増し、激痛と右手のしびれで、ほぼ右手が使えない状態となった。
激痛となった直接の原因は思い当たらないのだが、掛かった整形外科のドクターによると10年前から患っている頚椎椎間板ヘルニアが原因との診断だ。
10年前に発症した時は、3~4ヶ月間は痛みに耐えていた記憶がある。そうなると3週間後の情報処理技術者試験の受験時に、痛みに耐えて論文を書ききる自信がない。
処方された痛み止めや神経痛を和らげる薬を服用するも、就寝中の夜中に3回くらいは痛みで起きてしまう状態が続いた。そこで試験日の4日前に通院している整形外科のドクターに相談した。
「21日に資格試験を受けるんですけど、論文で2500字以上書かないといけないんですよ。今の状態ではとても無理なので、なんとかなりませんか?」
そう懇願するようにわたしはドクターに救いを求めた。
「痛み止めの注射を打ちましょう。脳で感じる痛みを緩和する薬も出してみましょう」
そして、わたしに上着を脱いで後ろを向くように言いながらドクターは注射の準備をした。
「試験があるって、なんの試験を受けるの?」
わたしの背中を押し、注射を打つ位置を確かめながらドクターは気さくに尋ねた。
「情報処理技術者試験です。合格しても昇進や昇給することは一切ないんですけどね」
わたしは一生を左右する試験ではないこと強調しておきたかった。
「ぼくたちもそういう資格が結構あるよ。受けなくても仕事は出きるんだけどね。自己満足だねえ」
ドクターがそうつぶやくように言うなり直ぐに反応した。
「そうです。そうです。自己満足です!」
自己満足という言葉に妙に共感した。と、同時に医師免許だけで資格としては十分で余りある気がするのだが、医師免許以外に医師が資格を取得することが意外でならなかった。
ドクターの言う自己満足とはへりくだった言い方だと思う。資格を持っていなくても仕事はできるが、仕事に対して揺るぎない自信をつけることや、仕事の幅を広げるために資格を取得するという意味での自己満足かもしれない。
試験当日、万全の体制(温湿布を首、肩甲骨、右肩、右腕に貼付し、マグネループを2本首に巻き、矯正ベルトと保温用肩サポーターを装着)で試験会場に向かった。注射と薬のお蔭か、肩甲骨のツボを物干し竿のような太い棒でグリグリとえぐるような疼痛は消えていたが、右腕のツッパリ感と右肩から右手の指にかけてピリピリする神経痛はまだ残っていた。
(「午後1の記述式は何とかなるにしても、午後2の論述式は書き切れる気がしない…」)そう心でつぶやきながら駅を下りると、そんな不安と正反対に試験会場の空は快晴だった。