Jリーグの今オフの話題は、C大阪への加入が決まったディエゴ・フォルラン(34)で持ちきりだった。2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で最優秀選手に輝いたウルグアイ代表FW。正真正銘のワールドクラスがやって来るのだから、ファンにはたまらないだろう。
フォルラン加入により、さまざまな面で恩恵がもたらされそうだ。戦力アップは言うまでもなく、昨季にクラブ史上最高を記録した入場者数は一層の上積みが見込めそう。Jリーグ全体の盛り上がりにも、かなり寄与するに違いない。
クラブが期待する効果は他にもある。「華があって規律がしっかりと守れ、人物としてもすばらしいと誰もが言う。プロのマインドを持つ見本として、選手たちの近くに置いてあげたい」。そう話すのは岡野雅夫社長だ。
1990年代、ジーコやリネカー、ストイコビッチら数多くの名選手がJリーグのピッチで躍動した。彼らはサッカーの技術はもちろん、プロとしての意識の高さもまた一流だった。
元日本代表でもあるC大阪の勝矢寿延強化部長は現役時代、横浜MでJリーグ初代得点王のラモン・ディアス、磐田ではブラジル代表主将も務めたドゥンガ、90年W杯イタリア大会得点王のスキラッチとチームメートだった。彼らから痛烈に感じたのは、課された仕事への責任感と勝利に対する執念だったという。
「スキラッチは決定的なチャンスを外すと、悔しさを前面に出していた。試合に勝ってわれわれが安堵感に浸っていても、彼自身が納得のいく仕事ができなかったら、バスの中で近寄りがたい空気を漂わせてましたね」
「闘将」として名をはせたドゥンガは、勝利への渇望が人一倍だった。「負けたのに、日本人は何であっけらかんとしてるんだ?」。脚光を浴びた若手の言動にも目を光らせ、気の緩みを感じた際は直接指摘していたという。
ドゥンガの熱血指導によって才能を開花させた若手の一人が、日本代表としてW杯に2度出場した福西崇史だ。「試合中やハーフタイムにそれこそ手取り足取り。恥ずかしいくらい怒られてるわけですよ。ドゥンガの存在なしに福西の成長はあり得なかった」。勝矢強化部長は振り返る。
磐田は97年から03年までの7シーズンで、リーグ年間優勝と2位が3度ずつ。95~98年に在籍したドゥンガ、94年~97年にプレーしたスキラッチの影響を受けた選手たちが、黄金時代を築いたといってもいい。
勝矢強化部長は自身の経験を踏まえて言う。「フォルラン自身が“教科書”になる。本物のプロを目で見て肌で感じて、選手たちは成長してくれるんじゃないか」。創設20周年の節目に初タイトルを目指すC大阪。フォルランと接し、ポジションを同じくする柿谷曜一朗や南野拓実、杉本健勇といった有望なアタッカーがどんな成長を遂げるのか、今から楽しみでならない。(細井伸彦)
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