以前、紹介したレポート『マーケティングの極意 』が好評だったので、今回は『マーケティングの極意 その2』を紹介します。

私が事業経営を始める前に、大手企業を対象とした比較的大きなコンサルティング・プロジェクトを担当しているときに、ごく当たり前のように信じていたマーケティングのセオリーがあります。

このセオリーは、経営・マーケティングの教科書で必ずといっていいほど書いてあり、ハーバードのMBAでも教えられています。

しかしながら、このセオリー、実戦ではまったくの役立たず!

これを信じて、経営したら大失敗すること必然です。

実際に私は、このセオリーに則ってマーケティングプランを立て、実行し大失敗しました。

この実戦で役立たず、でもMBAで当たり前のように教えているセオリーが何だか知りたいですか?

虎の巻読者のには、私と同じ失敗を犯して欲しくないので、特別に教えてあげますね。

それは、市場のニーズに応える、お客さんのニーズにあった商品・サービスを提供するという教えです。

「えっ、お客さんのニーズに応えることが間違ってるですって!本当に?」

そうです。これ本当なんです。

例えば、ニーズに応えた商品の代表例が、ダイエット・コーラでしょうか。

はじめてダイエット・コーラが市場に出たときを覚えてますか?大々的に宣伝していましたよね。

私もあまりに宣伝しているものだから、飲んでみたのですが、これが「まずい!」。

もう2度と飲むまいと思いました。かっこいい肉体をもとめて、ダイエットしなければというニーズはあるんですが、それよりももっと「おいしい」普通のコーラの方がいいと判断しました。

それ以降、コーラを飲むときは、ダイエット・コーラではなく、普通のコーラを飲んでいます。

このコーラの例を読んで、何か氣づきましたか?

実は、この例にはマーケティングの極意が隠されているのです。

それは『ニーズに応えるのではなく、お客のウォンツに応えなさい』という教えです。

販売という点でお客の行動の基点になるのは、お客の『感情』、つまり心の動きであって、決して頭で考える論理的な思考ではありません。

『ニーズ』というのは、頭で論理的に導き出すものなのです。これに対し、『ウォンツ』は、感情が導き出すものです。

先ほどのコーラで言えば、ダイエット・コーラ、これはウォンツではなく、ニーズの商品です。私は頭では、普通のコーラよりも健康のために、ダイエットのためにはダイエット・コーラの方を選ぶべきだろうなと知っているのですが、やはり普段飲み慣れた普通のコーラを買います。

どうしてかというと、普通のコーラの方が「おいしい」からです。いわゆる『ダイエット』目的の商品って、味の点では劣るものが多いですよね。

私も個人的に、ダイエットは確かに必要と考えてはいますが、医者から絶対にそうしなさいと言われているわけでもないので、やはり買うときには味の良い普通のコーラを買います。

つまり「普通のコーラのおいしい味を楽しみたい」というウォンツの行動をとるということです。

この『ウォンツ』に応えると成功するよということを証明するのに例をあげるのに困ることはありません。

例えば、昨年ですか、不景気のど真ん中にありながら、赤ワインが飛ぶように売れ、高級なレストランに行列ができる。銀座にオープンした高級ブティックが黒山の人だかり。

これはなぜでしょうか?

答えは明快ですよね。高級赤ワイン、高級レストラン、高級ブティックを利用する人達は、世の中が不況であえいでいるときに、特別に儲けたという人達ではありません。

単に「欲しい」という感情で行動したにすぎないのです。

ニーズはもともと論理的な動機なので、 不景気の時には、まっさきに論理的理由で削除される傾向にあります。

でも、ウォンツは人の行動の動機の1つ「快楽をもとめる」もので支えられるので、景気に関係なく売れる んですね。

まず世の中の商品は、必ずといっていいほどニーズを満たすために創られています。開発者が自分の経験や他人の意見を聞いて、「ニーズがある」から「それを満たそう」「売れるぞ」と思って開発するのですからね。

でも、そこまではいいのですが、そこから「欲しい」というところまで考えていないのが残念なところです。

マーケティングは、まさに「欲しい」という『ウォンツ』を創りだす作業なのです。