今年は寺山修司の没後36年。
もうか、という印象を受けるが、過去を掘り返す考古学者のように
自身もゆるゆると過去へと後退しつつある
澁澤龍彦と大きく違うところは、
いまだに現代日本の社会を撃つアクチュアリティーを持っていることだ
「身を捨つるほどの祖国はありや」
短歌で突きつけたこの問いは、共謀罪を強行採決した今こそ強い輝きを放っている
60年安保闘争を背景に、フランス革命時にバスチーユの監獄に幽閉されていた闘志でもあったサドを紹介することで
反権力の衣装を着たようなフリをしていた傍観者の澁澤龍彦と、そこが決定的な違いだろう
一方の寺山修司は、
「ひとりぽっちのあなた」
という簡単には社会に馴染めない個人をオルグしつづけながら、たえず時代の先に待ち受ける「未来の目覚め」に対する、挑発的なパルチザンの闘志のようだ。
いつまでも色褪せないのは時代のせいだろう。