The world end of somebody -2ページ目

The world end of somebody

誰もが所持している、自分の『世界』。
それが終わる時、当の本人は何を視るだろう。
取り巻く人々は何を想うだろう。
そして僕は今日も。

嫌いだ嫌いだと言いながら、それだけ相手を考えている。


空っぽだと罵りながらも、ちゃんと相手を見ている。


言葉を借りるなら、「コインの表裏はどちらも同じであるよう」だろう?


あの子にとって俺もそうであったらいいのに。


何度も否定しながらも、確かめる様に同じ言葉を繰り返す。


真っ直ぐ少年を見て、冷たい「嫌い」を突き立てる。


瞳の中にある迷いを丸見えにしながら。


もう光には戻れない少年らは、影の中で。


片っぽだけ脱げた靴は、日向に投げ出されたまま。


僅かに震える手を見て、少年は嘲るが如く笑顔を貼りつけた。


より一層慄いたあの子は、やっぱり風船のようだと悪態をつく。


そして、本当に戻れやしないのだと、静かに涙をこぼす。


真実を知らなければ、幸せだったのに。


嘆いても知らない過去には戻れないから。


此処で踊るしかないのだ。











相思相愛なハッピーエンド。


自己満足のピリオドを付けて終わらせようか。


喜劇に巻き込まれた、悲しい彼女のバッドエンドな物語。


幕を引くのは僕。


途中から加わったキャストを横目で見ながら、拍手喝采の合図を即す。


バラバラな音で賑わう舞台から、気づいたら僕は居なくなっている。


見つけていないだけで、袖に隠れている。


綺麗に着飾れた彼女を見て、僕も静かに拍手する。


その音が僕には大きく聞こえるけど、彼女の叫びでかき消されて聞こえていない。


そんな慟哭を聞きながら、僕は目を閉じる。


其処に居て、此処には居ない感覚に陥って意識を飛ばす。


目を覚ました時には、きっとすべては夢の出来事。


幻想に取り残された彼女を、救う王子様が来ると願って。


負った傷をそのダレカが癒すと託して。


そんな、そんな、物語を読む。

















離れるのは寂しくて。


辛い事だけど、想像すると恍惚としてしまう。


僕がもし居なくなれば。


それでいて、彼女が僕をまだ愛してくれるのならば。


居なくなった僕を想いながら、彼女は胸を締め付けられることだろう。


苦しくて、辛くて、涙が出てしまうのかもしれない。


彼女は泣かないから、泣くのは低い可能性だけど。


もし、泣いたのなら。


彼女の涙を引き出すということをした。


そんな可能性の薄い事を僕がした。


僕のせいで、苦しくなる彼女を想うと。


たまらなく愛おしくて、幸福に満ちる。


僕の事で頭いっぱいにして。


彼女の感情を僕のせいで左右させていること自体が。



悲しむ彼女をみたいわけじゃない。


涙してほしくないし、笑っていてほしいけれど。


それでも、どんな形であれ僕で満たされてる彼女には嬉しくなるんだ。


僕を求めるけど、何処にもいなくて。


ずっとずっと、名前を呼びながら僕を想ってくれるなら。


離れることだって、辛い事ばっかりじゃないのかもしれないと思う。




それでも、その姿を目にして見えるわけではないから。


その泣き顔を、痛みに耐えてる姿を見せてほしい。


正面からその姿を見ることができたなら。


これ以上の満足感は味わえないのかもしれない。


やはり最低な僕。


緩まる口元を押さえながら、涙するんだろうか。


いや、でも僕も泣かないんだろうな。


哀しみと狂喜に見舞われながら。


歪な感情を持ちながら、泣いている彼女を抱きしめたいと思う。













彼女は僕を分かっていない。


僕も彼女が分からない。

どこか必死になっていると、意識半分の僕は思う。


目を閉じたまま、口だけを動かした。


「さあさあ、寄ってらっしゃい。ある少女の話だよ」


得意げになって嗤う。


目の前に居る傍観者共に向かって。


「誰もがきっと、少年を嫌うだろう」


くつくつとピエロは嗤う。


歓声を待ちながら同情するような感情を含んで。


「少女は幸せになりたかっただけなのに、ね」


観客達は呆れて、その場を立ち去る。


お涙ちょうだいなセリフは好まなかったのだろうか。


少しきょとんとおどけた顔になってから、人々が歩く先を見据える。


目を細め、じっと先を見る。


ニヤリと真っ赤な口を、顔いっぱいに張り付けて持っていた風船を離した。


フワフワと風に乗って、空高く舞うのを僕は黙って見た。


色とりどりの風船が、自然に任せて自由に自在に飛んでいく。


その後の風船の所在など、その場に居合わせた人しか分からない。


意識半分の僕は言う。


「賽はやっと今、投げられてしまった」


観客の行先は知れない。


風船の行く先も知らない。