balance 13 | それでも おいらは 生きてやる

それでも おいらは 生きてやる

棺おけに片足突っ込んで早二年
今ではアクティブに動いてます

「死ぬって簡単 いつでも出来る 明日でも死ぬことは出来る

 生きるって今しか出来ない だから今するんだ」

今を生きる大切さを実感してます

僕は街を歩いてみた
まさか「黒マント知りませんか?」と尋ねる事もできない

ただ街を彷徨っているだけでは出会うこともない
また出直そうかと思ったとき
僕は「黒マント」を見かけた

路地裏でいかにも怖そうな相手とにらみ合っている
黒マントはフードまであり
男なのか女なのか 若いのか年配なのかもわからなかった
その「黒マント」は胸元から何かを相手に差し出し
何かを言っているようであった

黒マントの者の前に立っている男は
足元から崩れる様に倒れた

僕は何が起こったのかがわからないまま立ち尽くし
その場を立ち去る「黒マント」の背中を見送るしかなかった

何度かその街に訪れたが「黒マント」と出会うことがなかった

「もう出会うことはないのか?」
僕はそう思いながら駅前のベンチに座った

背中合わせのベンチに誰かが座った
誰かが座ったのがわかったのは 座った人が僕に話しかけてきたからだ

「お前は何者だ なぜ俺を探す」
振り返ると黒のマントを羽織り 僕に背中を見せている者がいた

「天秤のブロンズの秘密を知りたくて・・・」
僕が話す精一杯の言葉だった

「天秤のブロンズ? これのことか?」
黒マントは振り向きもせず首の天秤のブロンズを手に取り僕に見せた

僕が持っているのと瓜二つのブロンズの天秤が見えた
「はい」と僕は答えた
「ついて来い」黒マントは僕に行った
僕は黒マントの後をついていった

黒マントの後をついていった
黒マントは路地に入っていった
そしてそこにいる暴力を唯一の武器にする男の前に立った

「この街に巣食う蛆虫は お前のことか?」その男に言い放った
男は怒りに任せて黒マントの前に立った
「俺に何か言ったのか!」その男は黒マントに言った
黒マントは胸元のブロンズの天秤をその男に突きつけ

「お前の生き方は この世で生きていく必要があるのか否か 我が胸に聞け

 ひざまずけそして己が罪を悔いながら命を終わらせろ」

その男はなすすべもなくひざまづき 胸を押さえて倒れていった

黒マントはその場を立ち去ろうとした
僕は黒マントの肩を掴んだそして黒マントの前に立った

「君は何者なのか?」僕は聞いた
黒マントはフードを目深にかぶり何も言わなかった

「君は正義の天秤を持つジャスティスなのか?」
僕がそう言ったとき黒マントは不意に笑い出した

「俺は正義じゃない 生命を
 生きていく価値を量る
 ライフ 生命の天秤を持つものだ」

そう答えて僕に顔を見せた「黒マント」は

少女だった

「お前は 正義?それとも バランサー?
 俺に正義と聞いたのだから 
 お前がバランサー?
 こんな間抜けな男がバランサーのはずはない
 もしかして都市伝説マニア
 ククク笑わせるなよ」

そういって少女は僕の手を振り解いて立ち去ろうとした

これがライフの天秤を持つ少女との出会いであった

この後もっと大きなことが起こる予感でもあった


[第一部  完]