僕は天秤に紐を付けチョーカー風にいして身に付けていた
時たま天秤が左に傾くとき
いいことが起こる幸運のお守りだった
何か嫌なことがあったとき 天秤を見ると
左に傾いている
すぐにいいことがあって 天秤が元に戻る
嫌なことを忘れさせてくれるものになった
ある日いつものように大通りを歩いていた
何気なく路地を見ると
灯りが見えた
この天秤を手に入れたあの店だ
僕はその店に走り寄り
ドアをゆっくりと開いた
ドアか開くのと同時に
店の奥から声が聞こえた
「また来たんだね 待っていたよ」
その声の主はあの老人だった
老人はここに座るよう手招きをした
「聞きたいことがあるのだろう
ますは座ってゆっくりと話をしよう」
僕は老人の指差した椅子に座り
老人を見つめた
老人は僕にお茶を出しながら
「さて 何から話をしようか」と僕の顔を覗き込みながら言った