スペースコロニーには人や物資を運ぶ為に航宙船が離発着する為の場所が必要となる訳だが、多くのフィクション作品ではスペースコロニーの中心部付近の非自転区域に開口部が設けられ、航宙船が出入りする光景がよく描かれています。
スペースコロニーの遠心力を生み出すために筐体を回転させるという行為は巨大な構造物にとって大きな負荷になるというのは想像に難くありません。
スペースコロニーの形として、機動戦士ガンダムで有名になったオニールシリンダー型を始めとして、バナール球型、スタンフォードトーラス型、大林組が発表したスペースナッツII型な度色々な形状が提唱されてきた。
私が書いている作品の「スペースコロニーのぼくら(仮)」ではスタンフォードトーラスをベースとしているものがメインなんだけど、それ以外のデザインっていうのは無理なのかな、と思い色々考えてみた結果、図の様なデザインを考えた。
緑色の部分が居住区。
一般的なスペースコロニーでは構造的に円状で繋がっているものを、8分割し、その間を取り払う。
次に一つ一つの居住区の幅(回転方向の辺の長さ)を小さくし、その分縦方向へ大きくする。
こうして放射状に間を開けて8つの居住区を設け、スペースコロニーの中心部から縦方向で反対側へも同じ構造を設ける。
回転時に各居住区が横方向へブレて壊れないよう、間をフレームで連結して互いの相対位置を固定する。
このデザインにした理由は、スペースコロニーの自転方向に対して移動するとその速さによって移動体に働く遠心力が増減するという現象の影響を少しでも少なくする為だ。
とはいっても別にこういう構造にしたからそういう影響が0になるということではない。
参考にしたのは、『遠心力に由来する疑似重力発生システム内での物体の運動について 初出:1993年 東邦大学 物理科学研究会 会報『第32回東邦祭』という記事。
ガンダムに登場するオニールシリンダー型のスペースコロニーで時速50キロで回転方向へ移動すると、遠心力が1.24倍になる計算だという。
逆方向だと0.78倍。
体重60kgの人の場合に置き換えると、回転方向へ移動時は74.4kg、逆方向だと46.8kgと30.6kgもの振り幅で体重が変化することになる。
もっとも人間が時速50kmで走れるわけでは無いのでかなり極端な例だけど、しかしこの様に移動体に生じる遠心力に変化があるのは出来るだけ避けたいことには違いない。
最初は速度制御とかでなんかいい方法ないか考えてみたけど、そんな方法あれば大学の先生方がとっくに発表しているだろうし、私の知識の乏しい身でいくら考えても思いつかなかったのでやめた。
で、考え方を変えてみた。
要は回転方向へ高速で移動しなければ影響を小さく出来るわけだ。
どのサイトだったか忘れたけど、ガンダムの作中でアムロ達が移動するために乗っていたバイクなどが非常に低速で移動する様に描かれているのはそういった速度による遠心力の変化を最小限に抑える為だという説明があった。
それだ。
でも人間、早く移動できるに越したことはないわけで、特に移動距離が長いとその思いが強くなる。
じゃそんな急ごうと思わない様にすればいい
つまり、そんな急がなくても移動できる距離、徒歩で行ける距離に抑えればいい。
というわけで、図のように横幅を極端に小さくして、その分縦に長くするデザインを考えた。
横幅については3Kmくらいを想定している。
時速4Kmで歩く一般的な早さなら40分ほどで着ける距離で、時速30Kmだと6分ほどで着くし、時速20Kmでも10分かからない程度だ。
多分この程度でつけるなら、よほど切羽詰まった状況かせっかちな人でない限りそれほど気にしないんじゃないだろうか。
対して回転方向とは垂直の縦方向は遠心力には影響しないので、長くした分移動速を早くしても問題ない。
同時に居住区の位置を回転中心部から遠く離すことで回転半径を広げ、更に同じ問題の影響の低減を図る。
遠目には間がスカスカで見栄えはそれほど良くないけど、回転方向に対する移動による影響を最小限に抑えるという意味では少なからず役に立つのではないかなと思うんだけど、どうでしょう?教えて、そこのエロい人。




